R#1「テロ女との邂逅のようです」
人海を構築している酒場の全員に向けて今、報告をしてやろうかと思ってみた。

背中にかかる負担は凄ましい。何しろ背の丈程あるような剣だ。尤も今までは金属製の、これよりも一回り大きい得物を使ってはいたのだが。

蛇剣、黄金牙。つい数時間前に受け取った俺の新しい相棒だ。

偶然依頼書に出ていた狩場“古塔”にガブラスと呼ばれる比較的珍しいらしい小型の飛竜種を何体か狩りに行った際、この素材がいつか使えるかもしれないと踏んで何体か余計に狩ったのだった。

この計算が功を奏したのだろう、その後古塔関連の依頼は一件も来ず、そして俺は新しい主力の武器が欲しいと武器屋の店主に相談した際にこの素材を要求されたのだった。

今まで使っていた“タクティクス”と呼ばれる大剣でも別に良かったのだが、何ヶ月も斬っていくうちに剣そのものの強度と切れ味が劣ってきて、二度三度斬っただけで砥石が必要になってしまうようななまくら刀と化してしまったのだ。

元々威力も高くはあるのだが上位クラスに属する強さのモンスターと戦うにはいささか弱すぎるせいで、前回もゲリョス討伐に中々手間取ってしまったのだった。

今背負っているこの剣には、根幹にこそ金属を使ってはいるもののメインはギアノスやランポスの皮や鱗である。比較的軽量でもあるし、長く使えることも長所に挙げられる。

「ま、一生モンとして使うにはちょっと弱すぎるかな」店主がそう語って笑っていたのを思い出す。
実際剣自体がギアノスの特性である「氷を帯びている」という性質を持っているため、同じく雪に強かったり寒いところでもマトモに生きていけるようなモンスターにはあまり刃が通らないという話だった。

そのような“属性”を帯びていない武器を一生モノとして使ったほうがどの敵にも使えるのではあるのだが、逆に言えば「氷に弱い」熱を帯びたモンスターにはよく攻撃が通るのだそうだ。

なるほど狩対象によって武器を使い分けるスタイルも良いのだな、と思う。無論全ての属性の武器を揃える様な財力も素材も無いので先の話になるのだろうが。

「ま、今はコイツで充分かな」

独りごちり、柄をちょっと握り締める。鳥竜の皮の感触が少し心地よい。
ソファーにしても悪くは無いか、と笑ってみる。ソファーを使う暇など無いのではあるが。

とにかく今はこの新武器を早く使ってみたかった。何にでも良い、甲殻に刃を通したいとウズウズしはじめた。

いつでも依頼があって、自分の実力に大体見合った強さで、なおかつ火を帯びているようなモンスターが理想なのだが、と少し考える。

イャンクックは?あまりに手応えが無さ過ぎる。それに狩られすぎてる。
ババコンガは?糞をぶつけられて以来、戦わないことにしている。
バサルモスは?自分には少し強すぎる。それにとても硬い。

ならば―――と考えたとき、ふと思いついた。

「あ、リオレウスか」思わず口に出していた。

大体年中狩れて、そこそこ手軽に行けて、なおかつ火すら吐くような竜だ。ほぼ理想に見合っていると言えるだろう。

問題は少し強すぎるか?ということだが何とかなるか、と楽観的に考えた。たまに背伸びをするくらいが上級ハンターの道のりかもしれない。

そう自分を納得させ、依頼書の貼り付けられている掲示板に足を運ばせた。
床に転がってる狩りを終えたらしい酔っ払いを蹴飛ばしそうになりつつもなんとか目的地にまでたどり着く。僅か数mではあるのだが。

中々依頼はバラエティに富んでいた。厳選キノコを10個欲しい、や二頭で出現したらしいグラビモスを討伐して欲しい、加えて普通のハンターなら喜んで受けるようなローリスク・ハイリターンな依頼まで今日は中々良い依頼が多い日のようであった。

いつもの俺であれば喜んで飛びつくような依頼もあったのだが、今日はそのいつもとは違う。あくまで試し斬りと実力向上を兼ねた戦闘だ。

多分五分くらい経っただろうか、ようやくリオレウス討伐の依頼書を見つけた。8100zに契約金670z、森丘地帯での狩りだそうだ。

悪くないな、そう思って端を掴んだ瞬間、突然横から細い手が伸びてきた。しかも引っ剥がしたのは俺が今まさに端っこを摘んでいる、空の王者の討伐依頼書だった。

おい、そいつは俺の依頼だと発破を掛けようと依頼書を手に取った人間を見てみた…が。

「おい、そいつは僕の依頼だ。何か文句あるのか?」

………逆に発破を掛けられてしまった。中々威勢があるようだ。
イーオスSシリーズを身に纏い、腰に短めの剣を二つ差したその影。
その風貌は綺麗だが、

「僕を小便垂れたガキと勘違いしてんのか?だったら今ここでそのくそったれた脳味噌の代わりにババコンガの糞を詰め込んでやるよ」

―――どうみても、18もいかないガキにしか見えなかった。しかし、口だけはまるで熟練したハンターのように酷い。汚い言葉だ。

「見てくれも中身も腐ってやがるな。なんだいその防具?クックSシリーズだって?笑わせるなよ」
「お前だって同じようなモンだろうよ。それとその依頼は俺が先に取ろうとしたもんだ」
「はっ、笑わせんな!先に取ったほうの勝ちだね、恨み節の前にもう少し手を速く動かすこったな!それがハンターの掟だろ?諦めるんだな!」

こんの、いけしゃあしゃあと…と段々イラついてくる。こっちは楽しみにしてた武器のお披露目なんだ、別の竜を狩っていろ、と思う。

「うるさい野郎だな、代わりにリオレイアでも狩ってろよ」

そう言い放つと「あん?野郎だって?」と意外な言葉に反応を示した。

「なんか間違いでもあるかよ?」
「あるね!僕は…」

その続きの言葉に気を取られているうちに、俺は目の前のそいつが拳を振り被っていることに一歩遅れて気づいてしまった。
マズい、と構えようとするが遅く、

「……紛れも無く、女だっ!!」

―――その怒号とほぼ同時に、顎に華麗なアッパーが決まった。
完璧だ。

「完璧な、パンチだっ…!」

バタン!

後ろ向きに大きく倒れこむ。ああ、意識が何だか朦朧だ、頭が痛い。

耳鳴りのする中、その声を聴いた。

「僕こそが正義だっ!つまりは僕以外は悪って事さ!よってお前は悪、倒すべき対象だ!」

成る程、とんでもない自分信仰だ。ここまで来るとむしろ清々しいほどだ。
切れかかりそうな意識の中、ただ一言だけ吐き捨てた。

「こんの、テロ女めっ…!!」

……刹那、プツンと意識が切れた。
ああ、面倒な奴と関わってしまったと後悔しながら。
猫麻時雨
http://bumpliker.blog99.fc2.com/
2009年05月03日(日) 22時13分27秒 公開
■この作品の著作権は猫麻時雨さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
エベロン更新リアルタイムで見てました!
ヒロイン安価参加したかったんですが蒼星石が半分ヒロインぽくなってて困惑しとります。
銀ちゃんどうしてあんなにヘタレなの!後こなたにも日の光をあげなよ…

や ら な い 夫 い な く ね ?

そんなこんなでどうも皆様。ようやくギターもドラムも紫ネ、ポップンは36に達した時雨でございます。

前の作品についてなんですが軽くあらすじを書こうと思ったんですが物凄く大雑把になって(俺ですら)わけがわからなくなってしまったために敢えて書きませんでした。
丁度良い機会ですし、一話から書き直すのも悪くは無いですね。

ちなみにこの作品、勿論アレを相当オマージュしています。
まぁ登場キャラとその背景くらいだけなのでアレですから知ってる人はクスリ、知らない人は普通に楽しめる作品になる予定でした。

でも文章が酷いので台無しです…しかもとっても短い…
とりあえずけいおん!のOPやGod knowsの練習に時間掛けなきゃならないので一週間に一回くらいしか更新できないかもですが、何とか勘を取り戻せるよう頑張りたいです。

しかしここのしきたりも懐かしいですね。僕も一応古参の中の新参気取りやってますが今でもやっぱり他の人の作品見てレスするのとかやってますよね。他の所と違う良い所ですね。あの頃が懐かしい…
でもあんま時間無いのでとりあえず米くれた人の作品にレスするくらいで勘弁してください…
昔はとりあえず全ての作品にレスしてたものですが…

そんなこんなでマイペースな更新になりそうですが何とかまた溶け込めるよう頑張りたいと思います。
でもどっちかといったらまず緋想天の方を強くなれるよう頑張りたいと思います。

それじゃ、また次の更新で

猫麻“Cellador、DragonForce大好きです”時雨

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