臆病者A
 プーアはリオレウスの狩りを終え、プーアとベスタ―の家があるオーブスという街に帰える途中だった。

 前回の狩りでベスタ―はレウスの火球をモロに喰らい、尻尾を喰らったのでかなりのダメージを受けていた。

 揺れる馬車の中でベスタ―は火傷をした皮膚に薬を塗りながらプーアと話していた。

「イテテテ、この薬効くけど染みるんだよな・・・」

「師匠、大丈夫ですか」

「ああ、大丈夫。ギリギリのタイミングで盾でガードできたから」

「なら良かった。あ、話しを元に戻しますね。僕が一人で戦っていた時、背筋が寒くなりました。あれは師匠は今でも有効に使っているって言いましたよね? 
それって僕にも使いこなせるってことですか?」

 プーアの確認の言葉を聞いて、ベスタ―はまだ薬が染みるのか、顔をしかめながら頷いた。

「ああ。というよりお前は使いこなすのに時間はかからないと思うよ。お前は極限状態の中で感じたんだろ?」

 ベスタ―の問いにプーアはその時の事を思い出したのかブルッと体を震わせて答えた。

「はい。師匠も使い物にならないし、自分が何とかするしかないと思いました。確かに極限状態でしたね」

「お前な・・・師匠の事を使い物にならないっていうなよ」

 薬のせいでは無く、弟子の言葉に顔をしかめながらベスタ―は呟いた。

「ん? 何か言いました?」

「いや、何でもないよ。さぁーこれからだけど、とりあえずオーブスに帰ったら最低二日は休もう」

「何でですか?」

「多分俺の火傷が治るのが二日はかかるし、お前も想像以上に疲れてるはずだ。
何せ初めての大型モンスターだったんだからな」

「わかりました。で、怪我が治ったらどうするんですか?」

「どうするんですかって、狩りに行くんだよ狩りに!!」

「あぁ〜、なるほど。で、何を狩る予定なんですか?」

「モンスター自体はそんなに強くないと思うぞ。一応思ってるのがダイミョウザザミの亜種だ。まぁー上位だけど」

 上位という言葉を聞いてビクついたプーアにベスタ―は笑いながら言った。

「大丈夫だよ。確かに上位は油断は禁物だけど俺は何回も狩ってるし、苦手な属性も知ってる。お前は距離を置いて戦えばいいよ。」

 それを聞いたプーアは安堵の表情を見せた。

 すると急に厳しい口調でプーアに諭すよう言った。

「ただし、お前が危険を察知する能力を上げたいのであれば自分とモンスターとの距離をなるべく縮めろ! そして死の危険を敏感に感じるんだ! そしたら、今回よりも使い方は分ると思うよ」

 ベスタ―は挑戦的な目でプーアを見た。実はこれはベスタ―がまだ駆け出しのハンターだった頃に師匠に言われた事だった。ベスタ―はその時はすぐには承諾しなかった。

 プーアは少し悩んで、しかしまだ狩りを終えたばかりなので気持ちが昂ぶっているのか思いのほか早く返事をした。

「わかりました。できるだけ近づいてみます」

 その返事を聞いて内心ベスタ―は驚いた。プーアは最初の頃はランポスにさえビビッた事もあったがどうやらレウスとの戦いで心に余裕ができたのかもしれないと思った。

「よし! そうと決まればまずは帰って手続きをして、報酬を貰って、時間があれば酒場で食事でもするか」

「いいですね、師匠。それに師匠が切り落とした火竜の尻尾もありますし、これは酒場の料理は期待できますよ」

 その後は取り留めの無い話しをして馬車の中で夜を過ごした。


 オーブスの街に戻ると飯時なのか大勢のハンター達が座って騒いでいた。狩りを終えたばかりで喜びを分かち合っているハンター達や狩りに失敗したしたのか重苦しい空気の中食事しているハンター達など様々だった

 二人はまず酒場のカウンターに直行し、依頼遂行の紙と証拠の品として火竜の鱗をカウンターの受付嬢に渡した。

 受付嬢は愛想よく笑い二人に労いの言葉をかけた。

「お疲れ様でした。あらベスタ―さん怪我したの? 珍しいわね」

「ああ、これね。弟子を庇ってちょっとね」

 ベスタ―はいまだにこの受付嬢と話すときは緊張し、はにかんでしまう。

「あら、そうなの。気を付けてね。さぁ、二人ともお腹空いたでしょ? 何か食べる?」

「とりあえずビールで。後これを調理ってできる?」

そういってベスタ―は火竜の尻尾を差し出した。

「リュウノテールの極上ステーキをこれで作って貰いたいんだけど」

 受付嬢は火竜の尻尾を受け取り、カウンターの奥に入った。

「大丈夫よ、作るって。とりあえず、適当に空いてるテーブルに座ってて」

 そう言われたので近くの空いてる席に座った。するとすぐにビールと香辛料の効いたアプトノスの肉と野菜の串焼きが来た。

「じゃー、とりあえず狩りの終りを祝してカンパーイ!!」

「ガシャン!!」

 ジョッキをぶつけ合い盛大にビールを零して乾杯をして、ベスタ―は一気に飲み干し、プーアは多少躊躇ったが決心して一気に飲んだ。

 プーアはビールの苦味に顔を歪めながら、串焼きに手を伸ばしたがその手をベスタ―は止めた。

「ちょっと、何で串焼き取らせてくれないんですか?」

 するとベスタ―はもう既に酔っているのか頬を赤くして笑いながら言った。

「師匠より先に食い物に手を出すな、俺が先に食う」

 そういうと、串を双剣の様に二本持って、かぶりついた。

 肉汁がジワァと出てきて、野菜も根野菜なのでシャキシャキといい歯ごたえで余計に食欲を進めた

「あぁー、ウメェー。やっぱ香辛料の効いた料理はウメェーや」

 そう言いながら串をバクバク食っていたベスタ―にプーアも自分の分を取られまいと必死に皿に串を入れていった。

 するとそのやり取りを見ていたのか受付嬢が笑いながらビールの追加を持ってきた。

「あらあら、相変わらずねベスタ―さんは」

 呆れているようだがこの状況を楽しんでもいる様にも見えた。

 プーアも初めてベスタ―と酒を飲んで初めて分ったことだった。とにかく酒が大好きで、どんな小物を相手にした後でもかならず酒を飲んでいた。しかもビールジョッキ一杯で酒に酔ってしまうという酒の弱さ、尚且つ酒乱なのだから酒に酔ったベスタ―はとにかく面倒くさかった。

 カウンターの奥の厨房から「できたぞー!!」という野太い声が響いた。

「リュウノテールの極上ステーキできたみたいね。待ってて、今運んでくるわ」

 そう言うと受付嬢はカウンターの方へ小走りで行ってしまった。

「ちょっと、師匠。もぉ〜リュウノテールの極上ステーキもうすぐきますよ」

 そう言っても一向に起きる気配がないのでプーアは自分だけで全部食べてやろうと思っていた。

「おまたせ〜、リュウノテールの極上ステーキよ〜」

 器用に皿を持ちながら少し危うい足取りではあったが、お目当ての物が目の前に置かれた。

 ジュウジュウといい音を立てて焼けているリュウノテール、匂いだけでもご飯が進みそうだ。するとその匂いに気づいたのかベスタ―が起き上がって叫んだ。

「まってました! リュウノテールちゃん。では早速いただきま〜す」

 そう言いながらリュウノテールにナイフとフォークを差し込んだ。

 スゥ――とナイフとフォークが入っていき、簡単に切り分けることができた。

 大口を開けて、リュウノテールを頬張ると酔いは一瞬で覚め、目は輝き、頬が思わず緩んだ。

「ウマァァ―――!!!」

 大声でベスタ―は叫んだ。ベスタ―自体リュウノテールの極上ステーキは何回か食べているものではあるが口に入れた瞬間にとろける感じ、一瞬で味が広がり酔いが覚める感覚が毎回新鮮であり、大好物である最大の理由であった。

 いきなり大声でベスタ―が叫んだのでびっくりしたプーアだったがそんなにおいしいんならと思い、プーアも一口食べてみた。

 ベスタ―と同じようなリアクションをし、感動で思わず涙目になった。

 

 リュウノテールの極上ステーキも食い終わり、すっかり酔いの覚めたベスタ―とプーアはデザートの飛竜の卵と食べた瞬間弾けるビックリナッツとハチミツを使ったビックリプティングを二人で食べながら話していた。

「ハンターってこういう事だと俺は思ってるんだよね。自然と戦うけど自然の恵みに感謝して、次の戦いに備える。生きる喜びを体で感じれるものだと思うな」

 そう言ってベスタ―は星空を見上げた。空一面星だらけでこの星一つ一つに見守られているというと感じた。

「綺麗ですね〜師匠。狩場ではこんな星空見てる余裕ないですよね」

「確かにそうだな、よしなら次の狩りでは星空が見えるように心にゆとりを持って取り組むって言うのはどうだ?」

「いいですね、ただし僕は死の危険を感じ取らなきゃいけませんけど」

「おー、皮肉を言うとはお前も成長したな」

「確かにそうですね」

 そう言って二人は笑いあいながら二人の家へと帰っていった。
キリコ
2009年05月30日(土) 21時51分11秒 公開
■この作品の著作権はキリコさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
こんばんわ
二回の投稿です
え〜自分では前回の反省をしたつもりなので見易くはなっていると思います
今回はいっさいバトルシーンはありません
戦士の休息みたいな事を書きたかったので(笑)
おかしな部分があったらまた教えてください
素直に受け止めます ではまた


<鳥羽千歳様>貴重なご意見ありがとうございます
すいません、ベスタ―の酔っ払いのいいアイデアが出なかったもので
次はきっちり書きます、楽しみにしいてください

<ケルベロス様>貴重なご意見ありがとうございます
なるほど、効果音は分けた方がいいですね
そうですね、確かに間違えてますね
ご指摘ありがとうございます

<カテドラル様>貴重なご意見ありがとうございます
リオレウスのほうがいいですか、これからは気を付けます
これからよろしくお願いします

この作品の感想をお寄せください。
 どうも。

 描写が上手くなっていていいと思います。
 内容には関係ないんですが一つ。
コメント返しは次回の作者からのメッセージですること。

 これだけです。

 上手くなっているので頑張ってくださいw
30 無名の一般人 ■2009-05-31 08:14 ID : A7cGhfkIzeA
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初めまして、遅筆者の烏羽でございます。以後お見知りおきを。

1・2と一気に読ませていただきましたが、まるで造りが違いますね。
コメントを受けてはっきりと違いが現れており、素晴らしいと思います。

作品自体も雰囲気が楽しく、かと言って楽しいだけではないハンターとしての何かを感じさせる内容だったと思います。

惜しむらくはベスター師匠が酒場で寝てしまう場面の記述が無く、いつの間にか寝ていたことになってしまっていることです。
何時の間にか寝てしまったのでは無く、寝てることになっているのは少々突飛だったかと感じます。

と、いっちょまえに失礼しました。
私はこの作品の雰囲気がとても好きなので、これからも続いてくれると嬉しいです。
20 烏羽千歳 ■2009-05-27 01:12 ID : f7a7PKkeP8s
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 どうも、始めまして、主にオリジナルで活動していたケルベロスです……。いい加減しつこく感じてきましたね、この挨拶。

 コメントですが、まず、『・・・』は『……』のように表現し、偶数個セットで使った方がいいです。
 カテラドルさんが仰ってるように、効果音や、モンスターの咆哮など、ひとの台詞意外は「」いがいの囲いを使ったほうがいいかと思います。
 一箇所だけですのでミスだと思いますが、『「大丈夫だよ。確かに上位は油断は禁物だけど俺は何回も狩ってるし、苦手な属性も知ってる。お前は距離を置いて戦えばいいよ。」』
 と言う文で台詞の文の終わりに『。』はないほうがいいです。

 あと、『〜た』『〜だ』のような文の終わり多いです。もう少し気をつけて『〜た』意外で表現できるところは直したほうがいいかと思います。

 場面が変わる場面は、もう少し行数をあけるか、『◇』や『*』などを使って区切った方が見やすいです。
 行をあけるよりは、場面が変わる場合は『◇』などの記号を入れたほうがいいと思います。
 ある程度の軽い場面転換なのならば、改行で済ませた方がいいです。そのような使い分けは作者である貴方の匙加減でやった方がいいと思います。

 では、また。
10 ケルベロス ■2009-05-25 21:59 ID : If3qiekeSNg
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