Criminal
光が天井から差し込む洞窟の中で、俺は目を覚ました。

目覚めは最悪だったと言える。
なぜ今更二年前の事を夢に見たのか自分の脳に問いたい。

ただでさえあの日以来マトモに睡眠を取っていないというのに、こんな夢を見ては疲れなんて全く取れないってのに。

何しろ連中、俺の都合なんてお構いなしにやってくる。
連日襲撃されるわけではないが、いつくるかわからないとだけあって普段から気を引き締めていなければならない。

特に神経を使うのは眠るときだ。
とりあえず毎日睡眠は取っているが、取れてせいぜい一時間半まで。
それ以上眠ると眠りが深くなりすぎてもしもの自体に対応できない、ぶっちゃけた話睡眠中に襲われた事は二年間で一度も無いが、それでも用心に越したことは無い。

一度だけ「せめて10時間ぐらい寝たい」と思ったことがあったが、子供にとって最低限必要な8時間睡眠でさえとろうものなら、そのまま目覚めることは無いだろう。

特に今日当たり、最後に襲われてから三日程音沙汰無しなので危険だと思われる。
何故かはわからないが、俺がどこにいようとあいつらは必ず俺の場所を突き止めるのだ。
この世界で数少ない夢と希望を持つ男に過ぎないのに、なぜそこまでして俺を殺そうとするのか理解できない。

まぁ確かに、場合によっては相手を一撃で葬る事ができる能力を持っているのだ、危険視されてもしょうがないといえばしょうがないのかもしれない。

それに・・・俺の目的は連中を滅ぼす事、向こうから来てくれるのなら手間が省けて助かる。



もうすこしタイミングに気をつかってくれれば言う事無しなのだが―――

「予想通りだな・・・そろそろ殺しに来る頃なんじゃないかと思ってたぞ」

突如俺の目の前に現れた敵は、今まで俺を殺しに来た奴等と全く変わらず、無言で俺を見つめている。
俺が話しかけても返事などしない、だってあいつらに下されてる命令は「俺を殺せ」という物だけなのだから。

だから機械だっていうのにさ。

「―――――――」

有無も言わさず表情も崩さす、敵は腰から15cm程のナイフを二本取り出し、切りかかってくる。
今まで戦ってきた奴等も例外なく、総じて同じ武器だったが・・・理由はわからない。
個人的な推察では「職業柄使いやすいから」というのが理由ではないか、と思っている。

そして俺はそれを、虚空―自分の内側―脳内―心―から瞬時に生み出した双剣で受け止めた。


     ――俺をここまで生かしてきたのはイメージ。想像による創造――


こう何度も皆して同じパターンで攻めてくるのだから、いい加減俺も慣れてきた。
奴等の仕事に隙や不手際があってはいけないようで、俺に隙あらばすべての攻撃は確実に人体の急所を狙ってくる。
それが奴等の長所であって最大の短所ともいえるだろう。

急所狙いは危険だが、何処を攻撃されるかわかっているという事は非常に助かる。


          ――イメージこそが俺の最大の力であり、俺だった――


つまり、わざと急所に隙を作ってやればいいのだ。

すると敵はそこを狙ってくる、そんな事など解りきっている俺は急所狙いの攻撃を片手の剣で受け止め、その際できた敵の隙にもう片方の手の剣で攻撃をたたきこんだ。
だから俺がいつもイメージで作り出す武器が双剣なのは、こういう所にちゃんと理由がある。

だが連中はこの程度の攻撃じゃ怯まない、本当に機械で出来ているのかと疑い
たくなるのも当然だ。
敵の腹から流れ出るのは確実に人の血、しかしその行動思考は機械そのもの・・・

いつもいつもこんなんだから、俺は戦闘に慣れても連中に慣れる事は出来ないのだと思う。


                ――それは想像を実体化し創造する力――

「くっ・・・!」

間合いを詰められると慣れていても死にかねない、連中との戦闘は一撃離脱が基本だとこの二年間で学んだ。

敵の腹を思いっきり蹴り飛ばし、自分と相手の間の距離を作る。

こっちは心臓バクバク言ってるってのに、向こうと来たら腹から血を流しながら平然と俺の命を奪いに来る。

狙われる場所は心臓と首。俺はやや腰を落とし右の双剣を首の前、左の双剣を左肩の高さにしてまっすぐ伸ばし、構える。

「―――――――」

マトモに受けたら反動で大きな隙が出来る。
そんなことは二年間で嫌という程思い知らされた。

見かけによらず力があるという事を学習した俺は、いつのまにか攻撃の衝撃を受け流す事を体得していた―――


           ――いうなれば「自分の希望や夢を実現する力」――


ガキィン!と激しい音は鳴ったものの、所詮音だけ、衝撃は空に散らした。
俺はそこで出来た隙を逃さずに――――

「………」

連中に殺された奴と同じ目にあわせてやるだけだった。

きり飛ばされた首は長いようで短い時間宙を舞い、岩の上にゴトンと鈍い音、黒い血を撒き散らし、落ちた。

もうこいつらを殺す事に関してはまったく心が痛まない。
慣れというのは全く、しかし恐ろしい物である。

俺が連中を人間として見ていれば今でも心は痛むのだろうが、奴等が俺を人としてみないように俺も奴等を人として見ていない。

連中は機械だ。
むしろ人としての部分が部品に過ぎないのだろう。

機械如きいくらでもかかって来るといい。俺の「俺は負けない」「俺は死なない」というイメージをすこしでも挫く事がお前らに出来るのなら。


夢と希望が許されない世界で、夢と希望を武器にして戦う。

なんとも皮肉じみた事だが、偶然か必然か授かったこの能力・・・俺が死ぬその時まで使わせてもらう。



丁度日が昇ってきた、いつまでもこんな所にいたらまた襲われてしまう。
俺は洞窟から出て、行く当ても無しの旅に戻った。
mlk
2008年03月18日(火) 01時04分45秒 公開
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■作者からのメッセージ
すごく・・・寂しいです・・・
まぁモンハンの小説がメインのサイトだからオリジナルが廃れてるのはわかるけどさww

この作品の感想をお寄せください。
確かにねぇ、廃れてるよね。
私も一応書いてあるんだが、投稿、どうしようかな……みたいな感じ。
「死なない」というイメージがあるのに、倒されることがあるのか?……その想いを挫かれると、駄目と。
面白いなぁ。
30  凰雅沙雀 ■2008-03-19 23:13 ID : FZ8c8JjDD8U
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まあ、僕もネタが出来たら投稿するかもしれませんので。もっとも、いつになるか分かりませんが。
想像から色んな物を創造する力。すごそうですね。
30 カイナ ■2008-03-19 12:26 ID : w9eT4U6tOE2
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俺もしばらくしたら、こっちにも投稿しようかな・・・・。
おやおや、今し方プロローグのほうにコメントしてきたばっかり立ってのに、何で気付かなかったんだろうww
創造で創造する力か、いいなww
30 ケルベロス ■2008-03-18 20:58 ID : If3qiekeSNg
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