xavier プロローグ |
この世には裏がある。 光ある所に影ありとは良く言ったものだ。確かにこの世には相応しい言葉だ。 確かにこの世界には表と裏があり、光に影はつきものだ。 でも表と裏で正反対というわけでも無いし、あながち光と影が犬猿の仲というわけでも無い。 俺は端から見ればただの少年にしか見えないかもしれない。 だが、裏ではただの少年では無くなってしまう。 誰でも一つくらいは秘密をもっているものだ。 時には別にどうだっていいものにさえ秘密という薄い衣を被せるときもある。 気が付いたとき、既に俺は高校を卒業した。 殆ど印象の無い日常だった。 友達は適当に作ったし、あまり無愛想にもならずに適当に付き合った。 まあそういうわけで俺は大学生。 そして大学生と来れば一人暮らし。俺は早速親父に交渉する事に。 「親父、一人暮らしがしたい。」 「別にいんじゃね?」 と即答してくれたお陰で俺はアパートを借りる事になった。 一度親から離れて一人暮らしもやってみたい、と思ってたので丁度良かった。 俺は一人だけの生活に胸を膨らませていた。 大学の入学式、実に退屈だった。 ただ、長々と同じ事をループしているような演説などを聴きながら思った。 春だな、と。 サークル勧誘を華麗にスルーして、家路を歩いていた。夕焼けが綺麗だ。 実のところサバイバルゲームのサークルには心が揺れたが、なんとか平常心を保って断っておいた。 その時だった。携帯電話の着信音が鳴った。 親父からだった。 恐る恐る電話に出る。 「何の用だ。」 「お前・・・それが親に対しての第一声か?」 うぜぇ。第一声はもう本当に嫌がらせに近いな。 「いいから早く用件を言ってくれ。じゃなきゃ切るぞ。」 「なんだよ全く・・・せっかく我が息子を心配してやってんのに・・・」 良いから早く用件を言えクズが、と言いたくなったがとりあえずクールに行く。 「切るぞ。んじゃな。」 「待て。これは真剣な話だ。」 「真剣な話?」 あの男が真剣な話を持ちかけるなんてありえん。 明日は雪を予報しよう。 「そうだ。良いか、良く聞け。これは大事な話だ。」 「・・・わかった。」 考えてみればここで断っとくべきだったのかも知れん。 俺の一人暮らしプランが壊されたのだから――― |
setsunaZERO
2007年12月01日(土) 21時03分18秒 公開 ■この作品の著作権はsetsunaZEROさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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親父のノリが………軽い。 | 10点 | 凰雅沙雀 | ■2007-12-02 10:48 | ID : FZ8c8JjDD8U | |
合計 | 10点 |