フロンティア・ストーリー 二話
「「……」」
 
 案内人の案内に従って歩いてきた竜一と真由の目の前に現れたのは巨大な屋敷だった。しかもその庭も相当広く、二人はもう唖然とするしかなかった。すると二人の視界の隅に二人の少年が笑いながら話している姿が映る。
 一人は青色の髪を短く整えた少年。もう一人は茶色い髪を首より少し伸ばし、一つにまとめている少年。その姿は二人には見覚えがあった。

「あ、明秀!!」
「真次君!!」

 その言葉に二人の少年が竜一と真由の方を向く、とそれと同時に竜一が案内人を呼び、案内人が返事をする前に怒鳴った。

「てめえ! 何なんだよこの明らかな身分差!? おかしいだろ!?」

[私に言われても、登場場所はランダムでしたので]

 竜一の言葉に案内人はいけしゃあしゃあと返す。ちなみにランダムと言うことは竜一と真由が登場時添い寝してたのが運が悪ければ野郎との添い寝だったが、その事件自体既に竜一は器用に記憶から削除してしまっているのは全くの余談だ。
 それから明秀と呼ばれた青色の髪の少年と真次と呼ばれた茶髪の少年は二人と合流するとよかったと言わんばかりに微笑んで口を開いた。

「二人とも、無事だったんだな?」
「よかったよ。アキと一緒なのは助かったけど他の人達の安否は分からなかったから」

[あの〜、お二人とも……]

 案内人がそう言うと二人は驚いたように辺りを見回し、竜一が説明すると明秀が納得したように頷いて言った。

「つまりこの世界を何とかしない限り俺達は元の世界に戻れないって訳だな。了解だ、やってやろうじゃねえか」

「僕もやるよ、面白そう」

[ありがとうございます。それで、お名前は?]

「俺は真田明秀だ」
「僕は武田真次」

[明秀さんに真次さん、分かりました。それで、もう一人の方なんですが……]

「ナオ兄? そう言やいねえ……」

 案内人の言葉に竜一がそう言うと、案内人はふむ、と唸って返した。

「登場プログラムにバグがあったのか?……仕方がありません。とりあえずこのメンバーで行動を始めましょう」

「ちょっと待って、その前に何か武器ってないの?」

「ああ、それなら任せとけ。じい!」

 案内人の言葉に真由がそう聞くと、明秀が頷きながらそう言って屋敷に向かって叫ぶ。と屋敷から執事服を来た老人が歩いてきて、明秀は彼が到着するとすぐに言った。

「じい、彼らは俺の友達で、俺達は旅に出ることになった。すまないが何か武器を持ってきてくれないか?」

「はっ、早急にご用意いたしましょう」

 じいはそう言うと共に屋敷に向かって歩いていき、明秀は竜一達を見ると少し自慢げに笑い、竜一と真由は苦笑して返すしかできなかった。それから数分ほど経つとじいと数人の使用人やメイドらしき者達が色々な武器を持ってくる。

「お待たせいたしました。この中から好きなものをお持ち下さい」

「ありがとう。さてと、とっとと決めようか」

 じいに明秀はそう礼を言いながら竜一達に言って地面に置かれた武器を見始め、竜一達も武器を見る。ちなみにその時に竜一が呆れたように「坊ちゃんが」と呟いたのは余談である。
 それから各自それぞれ武器を決めていく。

「やっぱ刀かな? この慣れた握り心地はやっぱりいいな……ちょっと長いけど」

 真由はヒュンとそれなりの業物らしい雰囲気を出す、少し刀身の長い刀を振りながら言い、その次に真次が柄は両手で持てるよう考慮したのか長いが、一応片手用らしい両刃の斧を持って立ち上がった。

「斧か……何か格好いいし、これでいこうかな……」

 真次はそう言って斧を振り下ろしたりの素振りを始め、次に立ち上がったのは己の背以上は軽くある槍を選んだ明秀だ。

「中々強そうだ、こいつで行こう」

 明秀は槍を頭上に持っていって回転させ、それから最後に竜一が二本の刀を腰に差しながら立ち上がった。

「二刀流も悪く無さそうだ。俺はこいつで行く」

「二刀流? 私みたいに一本で行けばいいのに」

「普段は一本で行く。もう一本は予備かいざって時の二刀流だ」

 真由の言葉に竜一はにっと笑いながら言い、その間に明秀は「ありがとう」と言って残りの武器を下げさせた。それから案内人が話し出す。

[それでは行きましょうか。あなた方の知り合いが気になりますが……]

「ナオ兄は簡単にやられるような人じゃないよ。私たちも動いてればその内会えるでしょ?」

 案内人の言葉に真由はにししと元気良く微笑みながら返す、と竜一も確かにと言わんばかりに笑い、四人は一旦その場を後にした。

「行ってらっしゃいませ、坊ちゃま」

 いつの間にか後ろにまた来ていたじいの言葉を背に受けながら。





「……参ったな、こりゃ……」

 一方、こっちはどこかの明らかに雰囲気のやばそうなアジト。突然現れた侵入者にそこにいた不良らしき者達は驚いており、その侵入者――金髪を背中まで伸ばしている青年――直人はそんな状況にいきなり放り込まれていながらも、ただ困ったように頭をかいているだけだった。
カイナ
2008年12月25日(木) 22時05分14秒 公開
■この作品の著作権はカイナさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
カイナ:竜一達は直人以外とは全員合流。
竜一:ナオ兄、大丈夫なのか?……
カイナ:そう言や何でナオ兄なんて呼んでんだ?
竜一:ん? さあ……子供の頃から俺と真由に本当の兄ちゃんみたいに接してくれたからな……癖みたいなものか?
カイナ:なるほどね。
竜一:説明しとくと俺と真由、ナオ兄は幼稚園からの付き合いで明秀とは中学から、真次は俺達より一つ年下だが明秀と幼馴染だからその方向で知り合ったって訳だ。
カイナ:なるほど、良く分かった。さてと、この後はどうなる事か?

菅原啓太さん:はい、こっちでもよろしくお願いします。それとありがとうございます。
一つ言っておきますが、ここでは感想と一緒に点数も付けられるシステムで、感想の下に評価と言う欄があるのでそこから点を選んでください。言っておくといまいちが0点でそこから10点ずつ上がっていきます。参考までに言うと普通と思うなら良い、つまり30点を入れておけばいいですね。それでは。

この作品の感想をお寄せください。
ゲームの中に入る設定は素晴らしいです♪
とてもワクワクしていますw
頑張ってくださいね^^
30 takasi ■2009-03-24 13:22 ID : 5SMqAT/SywA
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ふぅ、とりあえず、前回の作品にコメントできずに申し訳ない。

それで、前回の作品へのコメントから行きましょうか。

>>『フロンティアストーリー 一話』
  プログラム間違えて幼馴染と添い寝っすか……羨m(ry  おっとしつれいしますたw
  偽名で「ああああ」はポケモンやってるときにライバルの名前によくやったきがするww
  一見すると平和そのものでもやばい状況ナンスね。はい。

>>『フロンティアストーリー 二話』
  身分差ww ランダムって怖いっすねwww
  設定された場所ではそれに馴染んでるもんナンスね。
  武器、長剣に槍に斧に二刀流っすか。。。 なんかこうきたら直人の武器に少し興味がいってしまうのは俺だけ?ww

 次回、直人はどうなるんでしょうかね。
   楽しみにしてますんで、がんばってください。
30 ケルベロス ■2008-12-26 00:03 ID : 8u0JUU1wUZY
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