学園魂 短々編 都市伝説なんてものを本気で信じるやつは大抵神の存在も本気で信じる |
※注意 :この物語に限って、グロテスクな表現が含まれています。大袈裟かもしれませんが、もしかすると貴方にとってのこの世の世界観を変えてしまう場合があります。 この日、空は黒雲に覆われ、午前十時にも関わらず、まるで深夜のような暗さの中、けたたましい雷の音と共に、激しい雨が降っている。恐らく大雨洪水警報等、様々な警報が発令されていることだろう。 そんな中でも、ここ神乃学園は活動していた。……というよりも、つい二時間前までは空は清々しい青だったのだが、天気が今のように急変したのだ。このような事態になるなど誰が予想するものか、と古林は自分の席でそう思っていた。 『──皆さんは決して外には出ないように屋内で待機していてください。それでは次のニュースです。……昨日もまた、学生を狙った連続殺人が起こった模様です──』 ここ、三年D組の教室にはテレビが一台天井から吊るされているのだが、電源が入らない。しかし、停電した訳ではない。何故なら教室は天井に付いている蛍光灯で全体が明るくなっているからだ。停電していたら学園内で発電でもしない限りには蛍光灯など点くはずも無いだろう。もちろんこの学園にはそのような設備はどこにも無い。……つまり、何故かテレビだけが電源が入らないのだ。だからこうして前にある教壇で寝転がっている黒いフードを羽織った斉藤先生と一緒にみんなが席でラジオをぼーっと聴いていた。 そうしたしんみりとした空気の中、一人の生徒が斉藤に向かって言う。 「先生。これからどうするんですか?」 委員長であるボンボンアフロの滝本はそう言ったのだった。斉藤はうーん、と唸る。 「今考えているところだ」 「いつも適当な先生でも考えるって言うくらいの思考は持つんですね」 滝本が皮肉にもそのように言い返すが、斉藤は困ったような顔をしてさらに唸るように言う。 「だって仕方ないじゃん。正直言ってこの天気じゃ家にも帰せないだろうし。さっきニュースでも屋内から出るなって言ってたしさ。……各組の担任は教室で生徒を見ておく。各学年の主任は職員室に集まってこれからどうするかを考える。それが学園長から下された指令だよ」 やはりこうなると授業もやっていられないのだろう、と古林が思ったその時、校内放送が流れた。 『えー、これからの時間は、各学年で「三年生を送る会」での出し物等を考えたり作ったり練習したりする時間となりましたので──』 『三年生を送る会』とは、実は『三年生を追い出す会』だったりする。……嘘である。 正確には、在校生がもうすぐ卒業する三年生のために何か楽しい事をしてあげよう、といった目的の学校行事のことである。しかし、『三年生を楽しませる』はずのこの行事では、在校生だけでなく、三年生が『在校生も楽しませる』こともしなければならないというこの学園独自の規則がある。その楽しませ方といっては主に、合唱や演劇だが、他にも、クイズやビンゴゲームといった出し物が出されたことも今までにある。 ちなみに現在D組では何をするかは全く決まってない。それには、担任に計画性が無いのも原因かもしれないが、その前にいい案が全く思いつかないのも一つの原因である。 放送を聞いた斉藤は教壇から立ち上がって委員長に向かって言う。 「それじゃあ滝本。そんなわけだから後頼むわ」 適当な斉藤の発言に滝本は苦笑したが、 「……分かりました」 そう返事だけをして教壇の前まで出てきた。 「それじゃあ、みんなで意見を出し合おっか。意見のある人は手を上げてね」 もちろん手があがるはずが無かったが、今回は違った。手が一つ上がっている。それは上野だった。 「それじゃあ上野君どうぞ」 上野は席から立ち上がる。 「俺は去年みたいに演劇なんかはどうかと思う。なんかこう、一人一人の意外性とかあったら面白くないか?」 「演劇か。でもそうなったら台本とかどうしようか」 「それは、去年のを少しばかり変えてみたらどうだ?」 「でも去年の台本とか無いと思うけど……」 話はそこで止まった。沈黙が続く……。そして滝本が言う。 「みんなも──」 その時だった。いきなり、ドォーン! と何かが爆発したかのようなとても大きい音が鳴ったかと思うと、辺りがいきなり真っ暗になった。今度こそ停電したのだろう。恐らくさっきの音は近くで雷でも落ちた時のものだ、と古林は思う。辺りからは女子などからの叫び声が聞こえ始める。 「みんな落ち着け!!」 暗闇の中、斉藤が叫ぶとみんなは案外すんなりと一斉に黙った。 「安心しろ雷が落ちて停電しただけだ。そのうち電気も復旧するだろう」 斉藤がそう言った直後、 「先生」 そうつぶやくように言ったのは鈴木だった。斉藤は何だ? と聞くと鈴木は 「今思いついたんですけどね。もしかすると送る会での出し物に役立つかもしれないこと思いついたんですよ」 「どういうことだ?」 斉藤は訊くと、暗闇の中、鈴木は語りだす。 「みなさん。都市伝説って知ってますか?」 その言葉は聞いたことがある。確か噂で出来上がった怪談のようなものだ。要するに七不思議に似たようなもの。 「それが一体どうしたんだ?」 「そこから思いついたんですけどね── 学園魂 短々編 都市伝説なんてものを本気で信じるやつは大抵神の存在も本気で信じる この日、空は黒雲に覆われ、午前十時にも関わらず、まるで深夜のような暗さの中、けたたましい雷の音と共に、激しい雨が降っている。そんな時だった。 「ねえ優。『万力女』っていう話知ってる?」 そんなことを話し掛けてきたのは絵美だ。優と呼ばれている私と幼馴染の同級生で一緒に神乃学園の三年B組に所属している私の大親友。 「どんな話?」 私はそう訊いてみた。 「うん。それが私も最近知った話なんだけどね。最近よく学生を狙った連続殺人が起こってるでしょ? しかも共通して殺された学生はみんな必ず脳がえぐり取られてるって話よ」 ああ。そう言えばそんな話があったような気もする。最近テレビとかみてないからそういうニュースは知らない。ただ、先生がそれについて話してて最後に「気をつけるよーに」とだけ言っていたような気もする。 「その連続殺人犯ってね、大きな万力を持った女なんだって。それで殺す前にまずその狙った学生のパソコンに殺人宣言のメールを送るんだってさ」 「誰からそんなこと聞いたのよ?」 私は絵美にそう訊くが、忘れた、とだけ言って話を続ける。 「それでね、その殺しかたってばそれがもうかなり残酷なの。どんなやり方かっていうのはね、持っている万力を無理やり頭に取り付けられてね──」 その時だった。いきなり、ドォーン! と何かが爆発したかのようなとても大きい音が鳴ったかと思うと、辺りがいきなり真っ暗になった。 「──頭蓋骨を無理矢理割ってそこから脳を取り出しておいしそうに食べるんだって」 辺りは暗闇だが、今は絵美の話に唖然とさせられて、慌てる余裕も無かった。優は恐る恐る訊く。 「それ……。本当の話なの?」 かなり真剣に優は聞くがその反面絵美は 「アハハッ! まさかそんなはずないでしょ! ただの都市伝説よ都市伝説。優ったら本気にしちゃって」 はぁ、と溜息をつく。 「もう……。変な話しないでよ。本気にし過ぎて逆に疲れちゃったじゃない……」 ……… まるでさっきまでの雨が嘘だったかのように不自然に空は清々しい青へと戻っていった。といっても、その時はすでに下校時間で、即時先生達に学校から追い出された。私と私は絵美と一緒に自宅まで向かう。絵美とは途中まで道が同じだからだ。 「なんかすっごく晴れたね」 絵美はそう言う。あまりにも不自然に晴れたが、まあ天候が良くなることは良い事だと思うしそんなに気にする必要もないか。それから沈黙が続く。 交差点まで来ると、ここで絵美とお別れ。 「じゃあまた明日ね。ばいばーい」 絵美はそう言い、優も手を振るりながら帰っていく。そして、 「といってもまた明日に会うことはないだろうけど……」 絵美は優の後姿を見ながら不気味に笑っていた。 ……… (さあて、これからどうしようか……) 優はそう思いつつも学生鞄を部屋に置くと、机に置かれたパソコンの電源をつける。 (今日は誰も帰ってこないしなあ……) 優の両親は現在娘を自宅において、姉と弟と一緒に北海道まで出かけている。といっても、優自身から行かないと言ったのだから家にいて当たり前だ。少なくとも明日までには帰ってこない。パソコンが完全に起動すると、優はインターネットを開いた。 それからだった。優は適当にネットゲームや占いなどをしている内に気付くと午後八時になっていた。外からは荒れている風の音が聞こえてくる。また天候が悪くなってきたのだろうか? と思いつつそろそろ夕ご飯のためにも台所へ向かおうとしたその時だった。いきなり、ドォーン! と何かが爆発したかのようなとても大きい音が鳴ったかと思うと、辺りがいきなり真っ暗になった。 (何!? 停電!?) しかし、今まで使っていたパソコンの電源は切れていなかった。優は慌ててパソコンに目をやると、そこには今までネットゲームのサイトを開いていたはずの画面は不自然にもメールボックスの画面に移っていた。 (何よこれ?) するとパソコンの画面は自動的に最新メール欄へと移ると優には一番最新のメール名に目をやってしまった。それには、 『殺人予告』 それだけが書かれたメール名があった。 (何? 何!?) 優は混乱して、パソコンの電源スイッチを何回も押すが、電源は切れない。そうしているうちにもついにそのメールが勝手に開かれてしまった。そこには、 『警告。今から貴方を殺しに貴方のところへ向かいます。万力女』 「きゃあッ!!」 その瞬間から優は急いで部屋から出ようとしたが、まるで金縛りに遭ったかのように体が動かない。とその時、 「見ぃ〜つけたぁ〜……」 後ろから女の声が聞こえた。 「あぐぐぐゅ……」 優は喘ぐが、その時にはすでに頭に重たい何かが取り付けられていた。それからは何処となく血生臭い匂いがしてきた。 「あら、優。動けないんだぁ、可愛そうに。ふふっ」 女は不気味に笑うと、動かなくなった優の体をわざわざ部屋に置いてある全身鏡の前まで移動させた。そこに映ったのは、 絵美だった。 「──!!??!?!?」 「ふふ。何驚いちゃってるのよ。そうよ、貴方の大親友の絵美だよぉ?」 優の後ろに立つ絵美は優の頭に取り付けた物に指をさしながら言う。 「これ、何かわかるかな?」 絵美が指差したものには赤黒いものがべっとりと付着していた。 「そう。『万力』よ。これで何人も殺してきたのよ? 凄いでしょ優? 誉めてよ?」 「あぐぐゅ!!」 「誉めてくれないの? じゃあこうしちゃうんだから!」 絵美は優の頭に取り付けた万力のハンドルをキュルキュルと音を立てながら回して締めていく。優は抵抗しようとするが力が入らない。 「あらあら優ったら、可愛そう。うふふ」 そうしているうちにも万力の板の間に挟まれた優の頭は圧迫されいく。ミシ……ミシ……と骨の軋む音が部屋に響く。優はどう抵抗しようと喘ごうとしても力が入らず、絵美はハンドルを回すのを止めなかった。が、金縛りが解け、優にいきなり力が入った。 「絵美!? どうして!!??」 「今さら抵抗してももう遅いわよ! これからが本番なんだから!」 優の頭にがっちりと極限にまで締められた万力のハンドルを絵美は力を入れてもう一回しする。 「ああああああああああぅあうあああああああああああああああ!!」 あまりの痛さに優は絶叫する。それには絶望といった表現が合う。 「うふふ。痛い? ならもっとやってあげるわ!」 さらに絵美は万力にハンドルを一回しした。 ベキッ! 「あ……ぐっ……う……」 頭蓋骨が割れる音がした。 そこから鮮血がダラダラと流れ出てくる。 絵美はそれを見ながら言う。 「あら優。割れたところから新鮮でおいしそうな脳みそが出てるわよ──」 ……… ──ってな感じの話ですがどうですか? 斉藤先生」 鈴木が語っているうちに電気は復旧し、教室は明るくなっていた。古林自身もだが、クラス全員が頭を両腕で抱えて顔色を悪くして唸っている。 「こら鈴木! お前の回想シーンは長いんだよ! 俺の出番が無くなるだろうが!」 「そっちかよ!」 と、古林は斉藤の発言に的確にツッコミを入れる。 「あれー? 結構いい話だと思ったんですけどね?」 鈴木はそう言う。その瞬間、どこからともなく「お前の腹黒さはまた違う腹黒さがあるんだよ!」 とか、「というかもうそれ以上だろ!?」 と反論する者や、「精神科行って来い!」 と率直な意見を言う者も出てくる。古林は、はぁ、と溜息をついてから思う。 なんと言うか……今日も平和だね……。 その後、不自然なくらいにすぐ晴れて空は清々しい青へと変わっていった。といっても、その時はすでに下校時間で、即時先生達に学校から追い出された。 ……… 深夜。外からは風が荒れ狂う音が聞こえてくる。また天候が急に悪化したのだ。 誰もいない深夜の神乃学園。そして、D組の教室の中、教壇にぽつんと置き忘れられたラジオ。そのラジオの電源は切られているはずなのだが、いきなりそれから雑音が鳴り響く。 『──速報……今日も……学生を狙った連続殺人が起こ……模様です……今回……被害者は青木優さ……死因は出血多量と見られて……が、青木優さん……死体の頭には脳が全て無くなって……の事で──ブツンッ……』 ラジオの電源は切れた。まるでそれだけを言いたかっただけのように。 |
N.H
http://ameblo.jp/nawaru/ 2009年03月13日(金) 22時15分29秒 公開 ■この作品の著作権はN.Hさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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よ。 今まで出一番上手いんじゃないかな? つーか三年生を追い出さないでくれwww 万力女か、楽しそうなネームじゃないかww もっとグロくしていいよ。山田悠介レベルまで上げていい。 ×ゲームを参考にしたらいいんじゃないかな? |
30点 | 生徒会長7 | ■2009-03-17 11:56 | ID : lNYxSGwKx1I | |
ギャーーー!!! 表現怖い! 読んでて思わず気分悪くなりました!! つか何か頭が痛くなってきた気が……。元々ホラー系嫌いなのでこれは堪えました……じゃあ忠告に従って読むなよって感じですよね。申し訳ないです。 最後がどうも気になりますね……読むかどうか本気で迷いますがとりあえず待つ事にしておきます……それでは。 |
30点 | カイナ | ■2009-03-13 23:05 | ID : w9eT4U6tOE2 | |
合計 | 60点 |