洗濯機が喋ったようです


   洗濯機が喋ったようです

       N.Hが何気なく思った事を小説にする今日この頃





 今は早朝。空はよく晴れているであろう今日、俺は驚きのあまり、尻餅をついている。おかしいおかしい、何故こんな事が現実に起こるんだ。俺はてっきりこんな事は漫画とか小説とか映画などの非現実的アナザーワールドで起こるものだと信じていた。しかし、それを裏切るかのように俺の前で非現実的アナザーワールドが展開している。まさかとは思うが、俺に何かしらの力が覚醒したのだろうか? いや、これは恐らく俺の精神がなんやかんやでついに逝ってしまい、このような幻聴を生み出しているのかもしれない。

「何尻餅付いてんだ?」

 当たり前だ。何故に機械が人間の言葉を話すんだ。

「なんだよ。洗濯機の俺が人と喋っておかしいのかよ?」

 おかしいに決まっているだろうが! 何で洗濯機が喋るんだよ! 確かに正三角形の形をした洗濯機ってのは珍しいとは思っていたけど、だからって喋る必要は無かろう。これはやはり俺の精神を疑うしかない。あとで精神科に行ってこよう……。






 そんな訳で、俺は洗おうとしていた洗濯物を諦めて、やはり精神科に向かった。部屋を出て行く途中で洗濯機が「どこに行くんだよ!」と喚いていたが、まあ気にする必要も無い。どうせ俺の幻聴だし、今はただ、俺の精神が安定することを願うべく精神科へ行くべきだ。

 大学生で寮暮らしの俺は、奇跡的にも近くにある精神科へと向かう。今日は休日だと言うのに、全くやめてもらいたいよ。それにしてもいつの間に俺の気は狂ったんだ? 歩きながら考えている内に精神科に到着。大きなビルのような建物で当たり前だが窓がいくつも付いている。そしてどうやらこの精神科は朝早くから休日にも関わらず運営しているようだ。休日なのにご苦労なこった。まあ俺にとっては好都合なのだが。





「ん〜……。朝起きて洗濯物を洗おうとしたら洗濯機が喋った、と」

 髭面の結構年をとってそうな白衣の医師はそう言う。その通りである。まさか洗濯機が喋るはずが無い。

「まあ、そう考えるのが妥当ですけど。ん〜……。最近ストレスとか溜まってます? あと疲れたりとか」

 そういや、そんな事は無い、よな。俺は毎日楽しく青春を送っている健全な大学生である。友達だっているし、テストの成績もそこまで悪くは無いし。そりゃ多少のストレスはあるが、そこまで重度ではないと思う。

「そうですか。おかしいですね……。それなら幻聴とか聞こえるはずがない」

 はっ!? じゃああれは一体何だったのだと問い掛ける。

「ん〜気のせいだったんじゃないですかね? 朝だったから寝ぼけてたんじゃないですか?」

 髭面の医師は苦笑しながらそう言ったのだった。そう言われてみればそうだったのかもしれない。

「まあ、多分自分の知らないうちに疲れてるんじゃないですか? 今日は家でゆっくり体を休めておいてください。あ、あと診察料金はいいですから」






 寮に帰った俺は、とりあえず洗濯機の前まで行く。

「おーい。洗濯機ー?」

 そう語りかけてみるが、洗濯機は何も喋らない。はは、なんだ、やっぱり俺はあの時寝ぼけてたんだな。なんだか馬鹿らしくなってきた。そんな訳で、洗うのを諦めていた洗濯物を洗濯機に入れた。

「がはっ!? クッセェよ!!」

「ぶべらっ!?」

 また尻餅を付いてしまった。それも朝と同じ態勢で。いきなり喋んじゃねぇよ! 心の準備ってやつが必要なんだよ。ってか、また喋ったぞ、これ……。

「だーかーらー、洗濯機が喋って何が悪いんだ? つか、くせぇんだよこの洗濯物! 吐き出してやる!」

 洗濯機はそう言って、さっき入れた洗濯物を、噛み終えたガムのようにペッ! と吐き出すと、それが俺の頭に降り注いできたのだった。……もういい。幻聴だろうが幻覚だろうが受け入れてやろうではないか。だんだん面倒になってきた。ウェルカム☆アナザーワールド! っつか、俺の洗濯物素直に洗いやがれ!

 ああ、そうだ。一応、洗濯機の説明書を読んでみたが、もちろん『人間の言葉を話します』なんて事が書いているはずも無かった。
N.H
2009年05月05日(火) 17時09分42秒 公開
■この作品の著作権はN.Hさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
 どうも、GWがあまりにも暇だったので、何気なく書いた短文を投稿したN.Hです。

 こう、なんと言うか、家具とかを見ていると

「もしこれが○○だったらどうなるんだろう」

 と思ったりしてしまいます。そこで昨日、

「洗濯機はいつもどんな気持ちで洗濯をしているのだろう? 喋ってくれたら分かるのにな」

 と言うきっかけで、何気なーく書いてしまった小説(?)、いや、この際、駄文にしておこう。まあ投稿してしまいました。

 この駄文の主な登場人物は今回限りでは、主人公の「俺」と「洗濯機」ですね。今回は完全な一人称で物語は展開しています。それを利用して「」がない状態でも会話として持っていくことが出来ました。


 また気が向いたら続き書きます。一人で。


  P.S 学園魂とは一切関係ないですよ。

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続きを書いてーお願い 40 誰か ■2013-05-12 17:15 ID : ywdsgNgu94Y
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どうも、何気なく読んだら『Like Life』を頭に浮かべてしまいました……あ、プレイしたことは無いですよ? 移植ベスト版でも買……ゲフンゲフン。

何気なく書いた作品ですか。読んで思ったことは、強力な印象に欠ける……ですかね。
短編といっても一つの作品ですのでちょっと強めの『何か』があっても言いと思いますよ。
極端に言えば『夢オチ』でも、『全ての物が動き出した』とかでも……、いえ、なんでもないです。

何気なく文が書けるのは『無名の一般人』さんが仰るとおりに『発想力』『想像力』『妄想力?』が豊かな証拠ですのでいいと思います。

個人的には、擬人化してくれると嬉(殴

点数を付け忘れたので削除して再うp
20 ケルベロス ■2009-05-05 21:43 ID : If3qiekeSNg
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 どうも。山形から帰ってきました、森内です。 

 何気なく思った小説なので深くは言えないのですが……。
 もうちょっと「大学生」や「精神病」について取材して欲しかったですね。特にこの作品は『現実の中に非現実が入ってくる』という作風なので、現実の辺りをしっかり固めておくと、作品にリアリティが出てギャップが生まれ面白くなると思います。
 着眼点は素晴らしいですね。こういうのは好きですよ。個人的にはオチもツボでした。

 長々と話したりしてすみません。では、僕はこれで……。
30 森内zz ■2009-05-05 21:34 ID : gGCCS9vJyC2
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 どうも。

 何気ない気持ちを小説にあらわす。
いいですね〜そういうの好きです。発想力と言うかなんと言うか……子供には多くある発想力、大人には少ないと思われるので大人になっても忘れないでください。

 なんかへんな文だな↑〜まあとにかく頑張ってください。ではw
40 無名の一般人 ■2009-05-05 18:16 ID : LKwYII7H92A
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