Murder |
俺は目を開けた。 その先には、二つの女の顔と、真っ白な天井が映っている。 メガネがなくてぼやけてよく見えない。そして、今いるところは多分、ベッドの上だろう。 そして、二つの顔はいつもの二人だろう。 「ん…」 俺は背伸びをしようとした。 「動いちゃダメっ! 」 二つの女の顔のうちの、一つが手を俺の体へ伸ばし、 背伸びを止めた。 少しぼやけた顔を見て、その顔が誰か把握した。 ……俺の彼女だ。 「可憐……、そうか… 俺、また喧嘩して…… つっ! 」 体を起こそうとすると、体に電気が走る様な激痛がした。 「ケガ酷いんだから、動くなよ。」 今度は、もう一つの顔の人間が口を開いた。 光(あきら)だ。俺の1つ下の妹で、俺と同じ不良である。 高校は同じで、俺は3年、光は2年。 不良になったせいか、喋り方は男の様になってしまった。 「玲斗、アンタ、誰と喧嘩したんだ? 」 光に聞かれ、俺は記憶を辿った。 「……。戸張高の…なんつったか。安藤?とか言う……」 ナマイキな1年だ、そう言おうとすると光が割って入った。 「あのチビなクソガキか!」 病室だったことに気付いたのか、ハッ、となったように口を抑えた。 「レイ君、この頃喧嘩ばっかりしてない・・・?自分の体大切にしなきゃ、ダメだよ?」 可憐に言われると頷かざるを得ない・・・・・・。 「ああ。俺は大丈夫さ。」 む、そう思えば今日は金曜日。月曜日から毎日喧嘩してる気がする・・・・・・。 「それにしても、今日は傷が深ぇみてぇだな。兄貴。」 深いのか・・・? 喧嘩してるときのことは全く覚えてない……。 そういえば、さっき体を起こそうとしたとき激痛が……。 「もしかして・・・俺、ナイフか何かでやられたのか?」 本当に喧嘩のことは一つも覚えていない。 鋭利な物で刺されたのだろうか……? 「多分、背中だ。傷口も何も見てないからわかんないけどな・・・。 兄貴は後ろの隙がでけぇんだよ馬鹿が。」 妹に罵られても返せない……。実話だからだ。 少し危ないかもしれないが、キズを確かめる為に腕を背中にもっていってみた。 「う…。深い…な。」 かなり痛い…。こりゃ入院…かな。 「ぁ…、あたし、今日は塾なの。ごめん、レイ君。もう行くね?」 可憐が沈みかけた夕日と、時計を見て言った。 「あ、ああ。別に無理して来なくても良かったのに……」 心の底ではそんなこと1mmも思っていない。 「それじゃあ。光ちゃんも、バイバイ」 「さよなら。可憐さん。」 光はなぜか彼女の可憐だけには敬語だ。 俺に敬語使えこの馬鹿が。 ハッキリ言って可憐がいなくなれば優しくする必要は1mmもないんだ。 帰れ。 「じゃあ、私は帰る。せいぜい傷にバイキンが入らないようにしとけよ。」 そう言って光は帰った。 罵り口はもう飽きた。 寝るか……。 俺は目を閉じた。 「ぐッ……!?」 背中にしか傷はないに、全身に痛みが走った。 さっき体を起こした時の痛みより数倍痛い気がする。 「ぐッ…ぁ!?…が…」 俺は目を覚ました。 真っ白な天井が上にはあった。 さっきの痛みで気絶したのか……。 窓の外は……さっきよりかなり暗い。 さっきは夕日の日が少し木の間から漏れていたが、 今は夕日も完全に沈み、辺りは暗かった。 時計を見るため、少し体を起こした。 不思議なことに、痛みは無かった。 「メガネ…はどこだ…?」 あれがないと全く見えない。 適当に辺りを手で散策すると、案外簡単に見つかった。 ベッド左側の棚に置いてあった。 ん……? 俺は異変を察知した。 メガネが…いらない?? メガネをかけると、逆にぼやけて何も見えない…… おかしい。俺の視力は0.01だ。 メガネナシで見えるわけがない。 何故だ……? そんな不思議のことを考えながら時計をみた。 時計の短針は9と10の間を指し、長針は5の中心を指していた。 3時間…ぐらい気絶してたのか。 しかし…、目の異常は何だろう…。 体の痛みも消えている。むしろ体の調子が良く、 気分が高揚するようだ。 俺の体に……あの激痛で何が起こったんだろう……。 両手を組んだまま、俺は眠りについた。 |
気まぐれビリー
2008年08月12日(火) 21時41分46秒 公開 ■この作品の著作権は気まぐれビリーさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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いやいや、始まりですから。いいと思いますよ。 これは言わせて貰います。三点リーダの多様は良くありませんよ。適所で使うのが良いのです、読点で良いようなところも結構あるので探してみてください。 んん……、物語はこれからですし。続きが楽しみです。視力、回復したら良いなぁ。 |
30点 | 風斬疾風 | ■2008-08-12 18:05 | ID : FZ8c8JjDD8U | |
合計 | 30点 |