咎と裁き 第一章 【胎動編】 File.08 《機人》
File.08 機人 

 無事に竹藤を回収し、一路二見へ向かう装甲兵員輸送車フクスの中は、陰鬱な空気で満ち満ちていた。数少ないシートに勇敢な戦士の……木村の骸を寝かせ、齋藤と森田はそれぞれ運転席と助手席に。竹藤は天井の銃座に座っている石田の隣に腰を下ろしている。藤原は情報管理席に座って、方々から飛んでくる通信の傍受、解析に追われている。彼女の話では二見の海岸はかなり混乱しているようだった。置いてくる訳にもいかず同行させた白銀部隊の生き残りである釘宮は、余ったシートに申し訳なさそうに腰を下ろし拳を膝の上で握り締めただ俯いていた。

 彼……木村の死を悼まない者はいなかった。恐らく、一番衝撃を受けているのは石田だろう。彼は大学時代からの木村の友人であり、SSS結成以後も兵士と指揮官として信頼関係を築き上げてきた。彼に比べれば昨日今日会ったばかりともいえる森田でさえ、胸を裂く悲しみに苛まれ続けているのだから。

「目標ポイントまで600秒です」

 静寂を切り裂いてCapの電子音が現実を告げる。木村を失った悲しみにいつまでも沈んでいる訳にはいかなかった……これから機人の陰謀を食い止めるための最後の戦いに赴かなければならない。既に総務省から三重県内の各PMCに受注が入っているようだ、SSSもその例に漏れず、追加の受注を受けている。白銀の第二分隊の本隊も二見の目標ポイントに到着し、既に交戦状態に入っているらしい。さらに伊勢市明野の陸上自衛隊駐屯地から2個中隊が出動し、事態の解決に当たっている。残念ながら、傍受できる情報は断片的なもので一体二見の海岸で何が起こっているのかは窺い知れないが。とにかく祭りでない事は確かだった。

 時刻は既に22時を回っていた……月が不気味に輝き、漆黒を切り裂いて神都を照らす。その中を轟音を立ててフクスが疾走する。途中、何台もの乗用車とすれ違ったが。こちらの前にも後にも二見へ向かおうとする車は無かった、情報統制が布かれ報道は無いにもかかわらず、皆本能的に何かの危険を察知しているのだろう。

「目標ポイントまで380秒です」

 森田はCapの報告の声を聞いて、我に返ったように顔を上げる。他の者も同じなのだろうか、にわかにフクス内の緊張が高まる。ハンドルを握る齋藤は何度もハンドルを握りなおし、緊張から逃れようとしている風に見えた。天井で竹藤と石田が何か話しているが、分厚い装甲版を隔てているためよくは聞き取れない。ルームミラーに目を向けると、藤原が相変わらずコンソールと格闘し続け、情報の解析に終始しているのが見える。その奥では釘宮が自分の預けたP-90の動作確認をしている。森田はある事を思い出し、その事について齋藤に問う。

「齋藤先輩、アレは出来てますか?」
「アレか! そうだった……何だかんだで戦闘になってすっかり言うのを忘れていた」

 齋藤はそう手を打つと、Capを呼び出す。GPSデータを入力し、二見までのルートを構築し。フクスを自動運転に切り替えて狭い後部へと乗り込んでいった。銃火器や予備の霊子刀などが格納されている箱を開けると、黒い骨組みのような物を取り出した。彼はそれを持ったまま狭いフクス内をぶつぶつ言いながら渡り歩いてくる。そして、先ほどのように運転席に収まると、黒い骨組みをこちらに寄越してくる。

「カーボンライザー……」

 齋藤が寄越したのは、三日月を少し引き伸ばした様な形の洋弓であった。フレームが骨組みに見えたのは、デザイン性と重量軽減を兼ね備えるフォルムのせいである。引き伸ばされた三日月のフレームだけを残すように、所々内側が削り取られている。アーチェリー用の弓として、一般に使用されている物の中では最高級の品である。それも、齋藤と竹藤の悪戯が施された物である。

「良いか森田、この弓は普通の弓じゃない。この特殊な矢を使用する……《ファルヒズィルバ》を使用した特性の弓だ」

 《ファルヒズィルバ》とは、齋藤が機人の体組織から生成した人工金属である。SSSの装備品で、齋藤の手作りの物の大半はこの金属が使用されている。既存の鉄鋼よりも強度や耐熱耐寒性に優れ、加工こそ霊力を利用した特殊な機械が必要ではあるが、その有用性は高い。

「矢をつがえる部分に磁気を利用した加速機構を搭載している。従来の弓の数倍の初速が得られるだろう。で、この矢に使用されているファルヒズィルバは思念防御加工が施されていない。つまり携帯する際は思念防御加工の施された矢筒に入れて持ち歩く必要がある」
「何故、思念防御加工を……?」そう齋藤に尋ねると、彼は間を置いて答える。
「……考えてみろ。思念を防御するという事は、お前のアーチャーとしての念を矢に送り込むことが出来ない。矢と一体になることが出来ない、それでは通常のアスリートとなんら変わらんぞ」

 森田は高校時代アーチェリー部に所属していた。大会では余り記録を残してはいないが、その気になれば70m先の人間の頭を撃ち抜く事は出来る。実際にやってみたことは無いが……。

「とにかく、その弓には可能性がある……銃には出来ないことがあるはずだ」

 森田は頷くと、弓を折りたたんで膝の上に置いた。

「目標まで60秒、各員戦闘配備」

 Capの電子音声が戦闘の始まりを告げる。やや急な上り坂を乗り越えた所で、上の2人が叫ぶ。

「燃えてる! 二見の町が燃えてるぞ!」

 その声にいち早く反応したのは齋藤であった。

「Cap、CCTV起動、ソナーとレーダーの感を最大に。CIWS起動後アイドル状態で待機」

 Capは無機質な声で了解すると、4つの指令をを一度に実行する。天井のハッチが開き、球状の体にまるで妖怪目玉小僧のようにびっしりとカメラの据えつけられた監視カメラが姿を現す。竹藤の目の前の位置に当たる部分のハッチが開き、筒が密集した円柱、一般にヴァルカン砲と呼ばれる重火器がせり上がって来て辺りを警戒する。音で物体の位置情報を把握するソナーと、電波で物体の位置情報を把握するレーダーの感度を最大に引き上げる。この状態では20時間が限界……それまでに任務を完遂しなければ、フクスは全ての機能を停止させ棺桶へとその姿を変える。
 Capの対応に満足せず、齋藤は更に指令を与える。

「自動操縦に切り替えろ、緊急時の回避パターンはランダム。外部カメラ起動、全窓を閉鎖しろ。スクリーンに情報を投影」

 齋藤の言葉に従うかのように、一瞬フクスが闇に覆われる。フロントガラスを始め、横の窓や小さな覗き窓も一切鉄の壁で塞がれる。そして、正面のフロントガラスだけはすぐに光を取り戻す。運転席側の外壁、中央部に設置されたカメラからの映像が投影される。リアルタイムで送られて来る映像にはタイムラグも無く、まるで窓の外の景色を見ているかのようである。

「え……」藤原が唐突に驚いたような声を上げる。

 齋藤が何事かと尋ねると、彼女は珍しく取り乱したように言う。

「機人にしては反応が大きすぎる……大きな反応の周辺に散るように幾つかの反応があるわ」
「こちらでも視認した、これは悪い冗談としか言いようが無い」

 銃座の石田が言う、そしてその頃には森田も齋藤もそれを視認していた。全長30mを超えるであろう巨体が両腕を縦横に振り回し、口からは得体の知れない光弾を発射して、閑静な二見の町を蹂躙していた。

「何ですかあれは!」森田は齋藤を見やって訊く。
「俺が知るものか! あんな化け物……映画でしか見たことが無い」
「とにかく接近だ、零距離攻撃を仕掛けるぞ」

 淡々とした調子で石田が言う、内心はどうか知らないが社長らしくうろたえた様子は見えない。その間にもフクスは戦闘区域へと近づき、その巨大な機人と思われる物体が更に大きく見えてくる。その大きさに圧倒されながらも、SSSは戦いを放棄しようとはしなかった。見れば、陸自の戦車が主砲による攻撃を敢行していたが、大きさが違いすぎるため大した脅威にはなっていないように感じられた。

「どうやって、こんな化け物を倒すんですか!」森田は恐怖の余り喚き散らす。
「うろたえるな! 竹藤、俺と換われ」森田を叱咤しながら齋藤は後部へと移動する。

 そして、M82対物ライフルを担いで、竹藤と入れ替わりに天井を改修した銃座に腰掛ける。恐らくあれで攻撃を仕掛けるというのであろう。フクスが市街地に突入する。辺りは一面火の海と化し、避難の用意の出来ていなかった人々が算を乱して逃げ惑う。フクスはその混沌とした町中の道路を疾走する。もうすぐ二見の海岸線に到着する。

「見えたぞ、74だ! 砲撃を邪魔しないように脇を抜けろ」

 石田がCapに檄を飛ばす。彼はAIであるため檄に対しては反応を示さないが、指令だけは忠実に遂行する。陸上自衛隊の主力戦車である74式戦車の一団の脇を通り抜けて、更に前進する。
巨大な機人を見上げる様な位置まで接近すると、想像を絶する轟音が天井から轟く。Capがヴァルカンファランクスによる攻撃を行ったのだ。踏み潰される恐れのあるくらいの近距離に接近したため、銃弾と呼ぶには余りに大きいその弾は巨大機人の右足に突き刺さる。しかし、乾いた音を立ててそれは弾き返されて地面に落ちる。

「駄目そうだな……」
「そりゃまぁ、単純に機人を大きくしたようなもんですからねぇ」

 その光景を見た竹藤が呟く、森田もため息と共に不毛な攻撃の感想を述べる。齋藤も石田も、それを見て取るや対物ライフルや狙撃銃があの目標に対して全くの脅威にならないことを悟ったのだろう。それ以上の攻撃を加えようとはしなかった。ただ陸自の74式戦車の砲撃だけが、巨大機人の侵攻を食い止めていた。

「他に方法は無いのですか?」森田は通信を開いて石田に訊く。
「ある……だが、それはお前にとっても、俺達にとっても茨の道だ」石田は唸るように答える。
「茨の道?」森田は石田の発言の意味が分からなかった。
「しかし、方法はあるのでしょう?」だが、それでも森田は石田に食い下がる。
「よく聞け森田、その方法とはな《ヤタノカガミ》を破壊する事だ」石田は森田を制して言った。

 石田曰く、国々の神話は作り話や虚構ではないらしい。世界の神々は邪魔になる邪悪を討伐し大陸を平定した、その途上神同士で抗争はあったものの、最終的には地上に適するため人間にまで身をやつした。劣化した能力を補うために日本の神々は《三種の神器》を生み出したと言う。それらは古に神々がまだ力を持ってた頃の神力を封じられており、日本を守護する神力を発揮する。それらの神力が日本を覆っているからこそ、人間は劣化した神力である霊力を行使できるのである。あの巨大な機人が《ヤタノカガミ》の神力を利用して無理矢理動かされているのだとしたら、その力の源泉である《ヤタノカガミ》を破壊すれば、巨大な機人はその体を維持できないと言い。

「推論でしかないがな……」と石田は最後に付け加えた。

 森田は嫌な汗が全身から噴き出し、肌をぬらすのを感じた。《ヤタノカガミ》を破壊する……それはつまり日本を覆う神の加護を消滅させるという事である。更に、その力を失えば術はおろか霊子刀すら行使する事は出来なくなるだろう。そして何より、日本の象徴であり皇室の宝である《三種の神器》の一つを破壊する事は、皇室に弓引くも同じ。事を成しても逆賊の汚名は避けられないだろう。

「それでも……人々の安息のためならば自分独りでも成し遂げます」

 森田がそう言うと、石田は銃座を降りてフクスの後部まで来ると言う。

「お前はサラリーマン失格だな……次の就職先は聖職者が良いだろう」
「社長、自分は行きます」森田はフクスの後部へ移動すると、石田と向き合って言う。
「焦るな、俺達も同じ思いだ……作戦を説明する」



 戦車砲が次々と主の神聖なる御身に命中する。残念ながら肉体までは再現できなかった主は鈍重な歩みを取る事しかできない、それは高速で飛来する砲弾を避けるには余りにも頼りない足取りである。白いコートを羽織り黒いボディスーツのような体に密着するタイプの戦闘服に身を包んだ機人……シモンはその光景を苦々しく思いながら見届けていた。しかし、それならば次に取るべき行動は分かっている。この国での作戦を展開するに当たって当初は500人の部下と、800体の下級機人が自分には従っていた。しかし、自分達の存在を察知した国の政府は直ちに対抗策を打ち出し、国防を充実させた。

 この国の人間との戦いは避けられなかった。自衛隊と呼ばれるこの国の兵士、警察と呼ばれるこの国の守護者、PMCと呼ばれる傭兵達……そして白銀と呼ばれる自分達を狩る為だけに組織された戦闘集団。それら全てとの戦いが、仲間達の命の灯火を吹き消していった。既に残った仲間は人型の機人58人のみ。ヒューマン462人と800体のビーストは鉄屑へと変えられてしまった。自分達は一体何のために生まれたのだろうか。その意味を自問した事は一度ではない、ある時この世界に生を受け……鋼の肉体を持たない生物とは少し違う生ではあるが、それは確かに生である。そしてある時、全てを統べる者から指令を与えられたのである。「機人のために生きろ」と……。

 この世界を牛耳る人間と言う生き物……「人間」との不毛な戦い。その戦いも今日で終わる、自分の信奉した主が彼らの住む地を滅ぼし、機人の世界を築いてくれる。人間との戦いは今日で終わる、主が楽園を築いてくれる。後はそれを信じて、主と共に戦うだけである。

「今日で終わらせる、そのためには主の敵を全て排除する必要がありますネ」

 シモンは振り返ると、背後に並ぶ最後の生き残り達に言う。彼らは恐ろしく均一化された兵士であり、徐々に個性と言う物が芽生えつつあるが、自立するにはもう少しの時間が必要だろう。しかし、《楽園》が生まれれば、個性を熟成する時間も与えられるだろう。彼らは灰色の迷彩服で銀色の表皮を隠し、黒いスカルキャップで銀色の顔を隠す。しかし、紅に輝くその目は隠さない。シモンは居並ぶ紅の瞳を不気味だとは思わなかった、人間の畏怖する輝き、それすら自分にとっては夜空に輝く幾千の星の輝きにも見える。

「戦士達! 今宵は私達にとって聖夜となるでしょう。人間の住む地を脅かし、主の手によって我々の楽園が築かれるのを共に見届けようではありませんか!」

 シモンは人間の政治化がそうするように、万雷の拍手を受け止めるべく両手を天空に向けて広げる。しかし、シモンは人間の政治家ではない。彼が期待したのは怒号、戦士達の雄たけびである。そして、望んだものは手に入った、居並ぶ同胞達は手に手に武器を掲げ、戦意を誇示するように咆哮してみせる。

「さぁ、聖戦です!」シモンはコートを翻して正面に向き直る。

 彼は普段のワルサーP38ではなく同胞と同じAK-47を掲げると、海岸線の陰を飛び出し、防波堤を乗り越え、二見の町へと飛び出していった。彼の後を付いて58人の機人が同じく防波堤を乗り越えて、二見の町へと次々と乗り込んでいく。



 森田は燃え盛る二見の町中を疾走する。その隣には白銀の生き残りで、森田としばらく行動を共にしていた釘宮の姿がある……。


「齋藤、お前はシモンを探せ。必ず奴はこの戦いに参加するはずだ、今日こそ決着をつけろ」

 石田の言葉に齋藤は無言で頷く。フクスは物陰に停止して今、話を遮る騒音の基は無い。石田は更に続けて森田に言う。

「森田、お前は《ヤタノカガミ》を探して破壊しろ。恐らく機人に守られているだろうから慎重にな」

 森田ももう何も言わず、ただ頷く。釘宮は白銀に合流するかと石田に聞かれたが、森田に付いて行くと言い現在に至る。


「でも、連中はどこにいるの?」釘宮が聞いてくる。
「藤原さんの話なら、海岸に59の反応があったらしい……数分前にそれは分散して、一部がこの辺りの建物に潜伏したって言う話だ。建物に入られては衛星レーダーは使えない。ここからは足で探すしかないだろう」

 森田は振り返らずに答える。すると釘宮は更に続けて言う。

「落ち着いて」
「え?」唐突の言葉に森田は困惑する。
「肩に力が入りすぎてる……気負いはミスを生むわ」
「プロの意見か、心に留めておくよ」そう言って森田が笑うと、彼女も笑い返してくれた。

 すると、藤原から通信が入る。森田は釘宮に断って立ち止まると物陰に身を隠す、通信をする間の護衛を釘宮に任せ、通信回線を開く。

「森田です」
「今、陸自から秘匿回線で各PMCに連絡がありました」

 藤原はそう言って話し始める。彼女に寄れば、現在陸上自衛隊明野駐屯地からシーバスターがこちらに向かっているらしい。シーバスターと言うのは正式名称を88式地対艦誘導弾の事である。日本と言う地理を考えれば外洋からの侵攻を考慮に入れるべきであり、この兵器はその名の通り陸上から敵戦艦を攻撃するために開発されたミサイル発射台である。この発射台はトレーラーに搭載され移動能力を有するため、事実上臨海に道路さえあれば幅広い迎撃を行う事が出来る。

「そいつは心強い……しかし、どれほどの効力があるのか」
「あれならいけると思うわ、一度だけ見たことがあるけど。破壊力も命中精度も申し分ない」

 なるほど、自分よりはきっとその手の方面に精通しているであろう釘宮が言うのだから、その言葉は信じるに足りそうだ。ならば後顧の憂い無く、ヤタノカガミの捜索に向かえると言うものだ。仮に攻撃が成功して巨大機人が倒れたとしても、ヤタノカガミは国の宝、日本の象徴である。取り戻す必要はある。森田は目標を「ヤタノカガミの破壊」から「ヤタノカガミの奪取」に変更し、機人発見を急ぐ。しばらく走ったところで、少し空気が違う場所に出る。廃棄され取り壊されるのを待つ2階から3階立てのビルが居並ぶ区域である。

 空気というものは異物が進入すると乱れるものである。そこには本来その場所が持っている陰鬱な空気のほかに、興奮、焦り、歓喜、そして殺意のようなものが入り混じった空気が漂っている。森田も、そして釘宮もその場で足を止める。「いるな……」森田がそう呟くと、釘宮は「そうね」と返してくる。その時、何か非常に硬い物がコンクリートを打ち付けるような音がしたかと思うと、2人の目の前に黒いボディスーツのような衣類を着た機人と思われる影が舞い降りる。

「誰だ!」森田は先ほど齋藤から渡された弓に矢をつがえて影に向ける。

 影は良く見れば、顔の下半分を黒い布で覆っている。露出する顔は月の光を浴びて銀色に輝き、その目はいずれの機人の例にも漏れず紅に輝いている。そのボディスーツも、タイツのような薄手の物ではなく、少し分厚い質感をしているように見えた。恐らくは衝撃吸収や、熱を遮断する素材が内包されているのだろう。或いは防弾素材なのかもしれない。隣で釘宮も影に向かってP-90を構えている、その目には一切の油断も無い。

「君達をここより先に進ませるわけには行かない……我が同胞の栄光のためにも」

 影はそう言うと手に持つ小銃をこちらに向ける。

「M4か……まずい! 釘宮さん、隠れろ!」森田は言うが早いか物陰に身を潜める。

 釘宮も森田の言葉を受けて弾けるように飛ぶと近くの建物の陰に隠れる。M4、アメリカ軍の正式採用アサルトライフルであるM16の発展モデルの一つである。銃身を16に比べて短い物に変更し、射程距離を犠牲にして取り回しの優秀さを手に入れた。そして、何よりもその拡張性が一番の売りである。スコープや銃剣はもとより、フラッシュライトや果てはグレネードランチャーも取り付ける事が出来る。

「お前はシモンと同じタイプの機人なのか!」

 森田はその機人と思われる影に向けて言う。彼はいつでもこちらを撃つ準備をした上で答える。

「私はナタナエル、機人などと呼ぶな我々はメタリアン、進化した人類だ!」

 ナタナエルと名乗った機人は、怒りを露にしてグレネードを撃ってくる。森田は物陰から飛び出すと別の物陰へと駆け込む。爆音と共にコンクリートのかけらが辺りに散らばる。ナタナエルの持っているM4にはグレネードランチャーがマウントされていた。正面からぶつかれば勝ち目は無いだろう。何せ、こちらは弓なのだから。一応ガバメントも持ってきてはいるが、あの火力相手では大した効果は期待できない。

「こっち!」釘宮は建物の陰から牽制射撃を行いながら森田を呼ぶ。

 森田はナタナエルが牽制射撃を受けて反撃できない隙に、釘宮と同じ建物の陰へと走りこむ。

「済まない!」

 森田は礼を言うと弓を背中に担いで、スーツの内側、脇部分のホルスターからコルトガバメントを取り出す。釘宮は折を見て建物の陰に身を戻し、向こうを警戒しながら森田に向き直る。

「どうする?」釘宮が取り乱した様子で森田に訊いて来る。
「俺が時間を稼ぐ、君はヤタノカガミを奪還するんだ」
「でも……」と彼女は躊躇う。
「ここでやらなきゃ、木村先輩に合わせる顔が無い!」

 森田が強く言うと、彼女は驚いた様子で目を見開き。そして、何かを悟ったような目つきになると、真っ直ぐに森田の目を見据えてくる。彼女は頷くと建物の裏側へと、細い道を駆けて行った。

「よし、一か八かだ……」

 森田は覚悟を決めると足に霊力を集中する。そして、腰をかがめて次の瞬間中へと舞い上がる。人間の常識を超えた跳躍力で9mほどの高さまで跳びながら建物の陰を出る。ナタナエルの不意を突く事が出来たようで、彼は本来予期していた場所とは全く違う場所から飛び出した森田への反応が一瞬遅れる。森田はガバメントのトリガーを連続で引く。弾はナタナエルの腕や肩、胴体に命中するが、やはりボディスーツは防弾素材なのだろう。彼はダメージを受けた様子も無くこちらに向けて銃撃を繰り出してくる。

 森田は落ちるように物陰へ飛び込むと、すぐに体勢を立て直し壁に背中を貼り付けるようにしてナタナエルの様子を伺う。彼はこちらを燻り出すべく、M4にマウントされているグレネードランチャーを構える。森田は思惑通りの展開にも素直に喜べないでいた。展開が思惑通りでもこれから自分のアクションが失敗に終われば自分は単なる肉片へと変わってしまうからだ。

「どうした! そんな所に隠れても無駄だ……お前は瓦礫と破片に打ち据えられ切り刻まれるのだ」

 ナタナエルはそんな物騒な事を言いながら、グレネードの狙いを定める。その光景を陰から伺っていた森田は、意を決して飛び出す。それは折りしもナタナエルがグレネードを発射しようとするその瞬間であった。彼は驚いたように目を見開く、それはそうだろう。死ぬと分かっていて榴弾の前に身を晒す人間など見たことは無いだろうから。しかし、森田は死ぬつもりは無かった。

「う、うわぁぁぁぁ!」

 咆哮……そう呼ぶには余りにも情けない叫び声を上げながら森田はガバメントのトリガーを引く、アメリカを象徴する拳銃から吐き出された弾は、真っ直ぐに飛びナタナエルのM4の下部分、今まさにグレネードが射出されようとしている銃口の内部へと吸い込まれるように飛び込む。打ち抜かれたグレネードはM4のランチャー内部で爆発する、ナタナエルは凄まじい炎に包まれその姿を見ることは叶わなくなる。彼の短い驚きの声だけが爆風に乗って森田の元へ届いた。

「や、やったか……」

 爆風と破片を避けるために再び建物の陰へと身を潜めていた森田は、爆風が通り過ぎたのを確認すると、恐る恐る建物の陰から顔を覗ける。人影が炎に包まれて燃え上がっている。コルトガバメントの弾倉を取り出すと、ベストのポケットに収める。そして別のポケットから新しい弾倉を取り出すと、ガバメントのグリップの下から押し込み、薬室に弾を送るためスライドを引く。体勢を整えてから森田はゆっくりと建物の陰を出る。

「やるな……」全身を炎に舐められながらナタナエルは言う。
「お前に反撃の余地はない、投降しろ」森田は銃口を彼に向けたまま言う。
「舐めるなよ……私はメタリアン、炎ごときにやられるか」

 彼は膝を曲げてためを作ると、その場でビル3階分まで跳躍してみせる。そして、地球の重力に引かれて落下してくる。まるでビルの建設現場から鉄骨が落下してきたかのような鈍い音を立ててアスファルトが砕け散る、着地したナタナエルの周辺は1mほど陥没しており、隕石落下の衝撃で出来るクレーターを彷彿とさせた。

「上昇と落下の勢いで炎を消したのか」

 着地したナタナエルの体は先ほどまで彼を包み込んでいた炎から解放されていた。

「ぬお!」ナタナエルは急にバランスを崩して転倒する。

 見れば、彼の左足が根元から折れてしまっている。左足の支えを失った彼の体は前のめりに地面へ転がる。ナタナエルはそれでも必死に上体を起こそうと、腕を地面に突くが、今度は右腕が音を立てて肩の部分から割れる。

「ぐぉ!」再びナタナエルの体は地面に打ちつけられる。
「やはり、お前達の体も炎に焼かれれば酸化するのだな……」

 森田は銃を向けたままナタナエルに言う。彼は首だけをこちらに向け、怒りの炎に燃える紅の瞳をぎらぎらと輝かせて睨んでくる。金属は酸素に触れることで酸化し、脆くなる。俗に錆びると言う現象である。森田は機人の体が通常の金属と性質は同じである事を聞かされていた為、今回の奇策を思いつくことが出来た。彼らは酸化しゆくその体を、どう言うメカニズムかは分からないが人間と同じように古い表皮を取り去る事で、常に完全な体を維持している。

「ぬぅ……小賢しい人間め!」ナタナエルは顔を地面に戻すと、そう吐き捨てる。
「お前達のように頑健な肉体は持たないがな……知恵こそが人間の力だ。さぁもうお前に行動を選ぶ余地はない、投降するんだ。反撃する力の無い相手は殺したくない」
「ふん……殺すが良い」ナタナエルは自嘲の笑みを浮かべて言う。
「殺す気はないと……」
「我々は生まれながらにしての戦士だ! 緩慢な生よりも潔い死を選ぶ!」

 森田の言葉を遮ってナタナエルは絶叫にも思える声で言った。その言葉を受けて、森田はガバメントの銃口を、酸化して青黒くなったナタナエルの頭部へと向ける。彼に戦士としての死を与えるためにである。


 森田は、ナタナエルに背を向け、釘宮と合流すべく廃ビルの立ち並ぶコンクリートの密林へと乗り込んで行った。その途中、歩きながらガバメントの弾倉を取り出すと、一発の銃弾を押し込む。そしてもう一度弾倉をガバメントのグリップ内に戻すと。スライドを引いて装填し、脇のホルスターへと戻す。



「シモン、斥候の情報ではナタナエルが死んだようです」

 シモンは、突然の声に振り返る。見れば自らが与えられた部下の中でも抜きん出た能力を持つ仲間の1人である男が立っていた。彼は他の同胞のように戦闘服ではなく、ナタナエルに与えた物と同じ、先進の技術で作成された戦闘用ボディスーツを着用していた。そして、彼の口からもたらされたのは、自身の直属の部下の中でも最も戦闘に長けた戦士、ナタナエルの訃報であった。

「何です? 彼が死んだ……一体誰に」
「PMC、恐らくはSSSの社員だと思われます……」

 彼の説明の中にあった身体的特徴に合致する男を自分は知っている。実際に剣を交えて、これから自分達の繁栄の前に必ず障害になるだろうと感じ、殺してしまおうと考えたが、折り悪く救援が間に合い、止めを刺し損ねた男……森田教嗣。止めを刺せなかった事が悔やまれる、と言う事はSSSの社員はヤタノカガミに相当近づいている事になる。作戦の成就を急がなくてはならない、シモンの心の中に初めて人間が焦りと呼ぶ感情がわきあがる。

「分かりました、ユダ。貴方はヨハネと共にヤタノカガミの防衛部隊を援護してください」
「しかし、シモン……もはや戦局は我々に不利です。降伏して人間に妥協を求めては?」

 優秀ではあるが、どこか打算的な男であるユダは現状を鑑みてか弱音を吐く。

「それはなりません。人間は自分達と異なるものを受け入れる事は無い、肌や目、髪の色、果ては考え方が違うと言うだけで同胞同士殺しあう野蛮な種族です。彼らに慈愛を求める事は不可能です。貴方の目の前で人間に殺された同胞も1人や2人ではないでしょう?」

 シモンは彼の意見を跳ね除けるように言う。ユダは頷くと、言われたとおりにシモンの側近であるヨハネを連れて、町の奥へと駆けて行った。その姿に満足すると、シモンは正面の敵を見据えてAKのトリガーを引き続ける。

 しかし、シモンはこの時知るよしもなかった。自分の言葉がユダの心に「作戦が失敗すれば自分達は蹂躙され殲滅される」と言う絶対的な恐怖を植えつけてしまったと言うことを。そして、彼にはそれを考える時間すら与えられなかった。

「シモン、戦線が後退しています……このままでは押し切られるかと」

 人間が他人の死を悼む式の際に着用する喪服と呼ばれる質素な服の上に、闇夜を映したような黒いロングコートを着た男が傍まで来て戦況を報告する。

「何故です、我々が押していたはずでしょう? それとも白銀の援軍ですか」

 シモンはロングコートの男に訊く。彼は首を振ると答える。

「残念ながら状況はもっと悪いです、SSSが前線に割り込んでいます。彼らの無茶な戦いを見た人間達の士気が上がっています」

 彼、アンデレは既に幾らか弾を貰っている様で。衣類に所々小さな穴が空いている。

「貴方は大丈夫ですか、アンデレ」

 シモンは彼の銃創を見て言う。彼は微笑むと胸を軽く叩いて問題が無い事を伝えてくる。しかし、彼の言う通りこのままでは戦線を押し切られて敗走するだろう。そのためにはこちらも命を顧みず前線にでて同胞を鼓舞するしかない。

「アンデレ、私が前線に出ます。後方での指揮を貴方にはお願いしたい……」
「なりません、貴方はメタリアンの希望です。その命は無下に散らしてよい物ではありません」

 シモンの言葉を遮るように、アンデレは強くシモンの言葉を否定する。シモンは嬉しくもあったが同時に少し寂しくもあった。自分は指導者として必要ではあるが、同時に戦士としては必要とされていないと言う思いが心に暗い影を落とす。

「……分かりました、その代わり自分も付いて参ります。それで宜しいですね?」

 アンデレはこちらの心情を察したかのように、ため息を一つ付くと言う。シモンはそれに同意し、AKの予備弾倉を確認すると、コートを翻して物陰を飛び出す。その後をアンデレが付いて来る。



「齋藤か!」石田はフクスに接近する人影を見つけ、声をかける。
「自分です! フクスに入っても?」

 石田は下で作業に追われている藤原に言い、フクスの後部ハッチを開けさせる。そして、自らも銃座を降りてフクスの内部へ移動する。竹藤も同じ様に銃座を降りて天井のハッチを閉め、フクスの中へと戻ってくる。齋藤は辺りを警戒しながらフクスの中へ入ってくる。そして、その場に片膝を突いて、呼吸を整えながら言う。

「現在、我々が無茶な戦いを続けているせいで、陸自や白銀、他のPMCも奮起しています。戦線は巨大機人の足元まで押し上げられ、直接攻撃も出来る状況でした」
「でした……とは?」石田は齋藤に訊く、齋藤は一つ頷くと言う。
「その後、シモンともう1人……強力な機人が現れました。彼らの猛攻に晒され兵士達は次々と死傷、現在巨大機人から400mの地点まで戦線が後退しています。それどころか巨大機人の動きも徐々に鋭くなってきています、陸自の戦車部隊の一陣が壊滅状態です」

 恐らく齋藤はシモンを探して方々を練り歩くうちに敵陣の中に取り残されていたのだろう。そして前線にシモンができてたのでは彼と1対1と言うわけにもいかない。後退するついでに、とりあえず伝令に走ったと言う所だろうか。

「どうする」石田は齋藤に意見を訊く。彼は大真面目な顔で言い放った。
「突撃です! 敵陣を斬り裂き、敵の指揮官を討ち取りましょう」

 そこからの展開は山を流れる急流のように素早かった。齋藤は運転の全てをCapに任せ、自分は助手席の天窓を開いて身を乗り出し、走行中に銃撃できるように構える。自分と竹藤には銃座で各個に攻撃するよう言い、CapにCIWSによる攻撃も指示した。藤原をレーダーのみに集中させ、とにかく襲い来る機人の攻撃をいち早く知らせるように言いつけた。

「Cap、良いぞ!」そう齋藤が言うなり、このAIはエンジンを蒸かせてフクスを動かした。

 爆音を轟かせてフクスが燃え盛る町中を疾走する。撤退する陸自や白銀を追撃する機人の一団と遭遇したが、構う事無く前進を続ける。彼らはフクスに一太刀加えるよりも前に、押し寄せる銃弾の雨に打たれて硬く冷たいアスファルトに沈む。身を挺して進行を止めようとしたが、フクスの重量は相当なもので、その車体も銃弾を弾くために頑丈に作られている。加えて時速70km近いスピードで突進する鋼鉄の野獣は、目の前に躍り出た愚かな機人を簡単に吹き飛ばす。流石に、人間よりは頑丈で重い機人とは言え、それを上回る重量と装甲を持つフクスに衝突されてはひとたまりも無い。空中に放り上げられてあらぬ姿勢で落下すると、それきり動かなくなった。

「見えてきた! まずい、Cap右に振れ!」

 齋藤が叫ぶ。巨大機人に再び接近したフクスは、巨大機人の攻撃対象になってしまった。彼は今までそうしてきたように顔の下部分にある大きな穴、恐らく口と思われるものを更に大きく開き、その中から光の塊を吐き出してきた。齋藤の言葉に従い、Capはフクスを右の車線に移動させる。フクスの横に直径1mはあろうかと言う光の塊が着弾する。大きく煽られて転倒しそうになるが、Capはフクスを上手に操って転倒だけは避ける。しかし、次々と押し寄せる光の塊は確実にフクスを追い詰める。徐々に狙いが正確になってきており、このままでは接近するよりも前に撃破されてしまうだろう。

「これは避けられん!」

 石田は思わず叫ぶ。左車線を走っていたフクスへ向けて、やや右よりの光球が飛んでくる。左によければ建物へ突っ込み、右側へよければ光球の餌食となる。まさに進退窮まった状況である。もう駄目だ……フクス内に絶望が走る。AIのCapですらも、回避の可能性は0.01%以下であると諦めていたにも関わらず、ただ独り絶望に打ちひしがれていない者がいた。

「わぁぁぁぁぁ!」

 男3人、情けない声でわめき散らす。しかし、光球がフクスに当たる事は無く。壁に当たったボールのように上へ跳ね上がっていった。石田は口を開けてその光景を見ることしか出来なかった。恐らく齋藤も竹藤もさして変わり映えのする反応は出来ていないだろう。それほどに衝撃的な映像だったのだ。

「藤原さんか」石田は銃座を降りてフクスの後部に入る。

 藤原が合掌し精神を集中しているのが見えた。確かに、銃撃を防ぐために霊力を注ぎ込んで障壁を形成する事は自分でもある。しかし、あのエネルギー量を跳ね返す障壁を形成する事が出来るとは……女性の霊力と言う物は侮りがたい。

「防御の心配はなくなったでしょう? 構わず突っ込んでください」

 彼女は自身の集中を乱さぬよう最小限の言葉を残すと、再び押し黙った。石田は聞いているかは微妙だったが、一応礼を言うと天井の銃座へと戻った。齋藤と竹藤がこちらを見遣り、説明を求めてくる。彼らに事情を説明し、正面の巨大機人に向き直る。

「本当に大丈夫な……うわ!」先頭の齋藤はやはり不安なようで泣き言を言う。

 Capは、藤原に言われたらしくもう車体を左右に振って光球を回避する事はしない。そのため巨大機人から次々と放たれる光球はフクスに向けて真っ直ぐに飛んでくる。しかし、そのどれもがフクス本体に命中する事は無かった。藤原の張った特大の障壁がその全てをあさっての方向へと弾き飛ばすからである。そして、彼女は防ぐ事に満足せず、今度は障壁を調整し光球をそれを放った巨大な機人へ目掛けて弾き返した。

「何だと!」これには驚かずにはいられなかった。

 戦車砲を受けても足を止めるだけでその身に傷一つ負わなかった巨大機人だが、着弾した胸からもうもうと煙を上げて仰向けに倒れる。あの質量である、倒れればそれだけで凄まじい突風が巻き起こり、煙と粉塵を撒き散らす。

「これは……予想外だ」竹藤が呟く。石田もそれに同意する。
「もう、逆らわない事にしよう……」

 巨大な機人を撃破したかどうかは分からないが、とにかくあの忌々しい超弩級移動砲台を行動不能に追い込んだのである。戦局はまた大きく塗り替えられるであろう。しかし、好ましい状況であるにも関わらず、齋藤の顔は引きつっていた。気持ちは分かるが慰めてやる事はできなかった。

アダムスカ
2008年10月14日(火) 15時41分51秒 公開
■この作品の著作権はアダムスカさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
 どうもどうも、若干欝気味のアダムスカです。
 先に寮内で行ったデモンストレーションにより、寮内各所に散っていたガンマニア達に動きがありました、こちらに同調する者、対抗勢力になってくれている者。
 近いうちにゲームが出来るかもしれません。


 さて、早いものでFile.08です。
 舞台は伊勢市内から少し外れた郊外の二見へ、夫婦岩で有名な場所ですが。荒れに荒れますので、読者の中に住んでいる人が居ない事を祈るばかりですm(__)m


>ケルベロス様
 シモン=ペトロはイエスの使徒の1人ですね。今回登場したナタナエルもその1人の名前を冠しています。

 今は多くを語りますまい、その内、作中で彼らが知らされる……或いは突き止めてしまうことになるでしょうから。

 今回、冒険とも言える機人パートがあります、そこに描かれる彼らを見て、何か違和感を感じて頂けると幸いです。


 08/10/14 誤字修正

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 誤字報告『参加して青黒くなった』参加→酸化。
 なんか……、上手いです……。こう、引き込まれました。最終戦!! みたいな感じで。やっぱり終着(と今の所思われるところ)へ辿り着く寸前のこの緊迫感が良いですね。機人―――メタリアンにもなにやら色々とありそうで。そしてこれは第一章ということでね。まだまだ楽しみです♪
 メッセージについてですが、一体何が!? と思って……。どんなゲームなのでしょう?
40 風斬疾風 ■2008-10-13 23:17 ID : FZ8c8JjDD8U
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むむむ、うーむ、難かしいですね。 自分にはどうも難しいようです。
推理・・というのですかね、そういうのは個人的には得意としている分野ではないんですよね。
機人パートですか・・ふーむ、これまた違和感というかなんと言うか・・・ふーむ。
まぁ、力不足の自分なりにがんばって読み進めて行こうと思いますよ。
40 ケルベロス ■2008-10-13 22:03 ID : If3qiekeSNg
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