サモナーズストーリー 4章
「・・・ん・・・あれ・・・?」

セントが目を開けるとそこは闇の空間だった。いや、部屋があるとしてそこが全て黒いと言う表現が正しいか、セントは自分の姿が見える事を確認してから考える。するといきなり部屋が明るくなり、そこには一人の黒いローブを羽織った恐らく男が立っていた

「・・・誰だ?」

セントはいつでも戦えるように身構えてから聞く、相手が何者か分からない今そうしておいた方がいいと判断したのだ。しかしその男はセントに両手を向けて言う

「身構えなくてもいい、君に危害を加えないと約束するよ」

男の言葉にセントはしばらく疑いの目を向けていたがその男から殺気を感じないことを確認すると拳を下ろす。それから再度口を開く

「それであんたは誰でここはどこだ?」

「我は、そうだな・・・ここの番人と言おう、そしてここは君の心の奥底だ。」

「ここの番人・・・だったらあんたは俺だな。ここが俺の心だったらな」

セントが男の言葉に瞬時に返すと男はヒュゥと口笛を鳴らしてから言う

「勘がいいものだ。まあ我は君、君は我、この表現がもっとも正しいかな。このように」

そう言ってローブを外すとそこにはセントと同じ顔があり、セントは一瞬たじろぐがその後顔を覆って笑い男に返す

「確かにな、それで何の用だ?番人殿」

セントの言葉に男は静かに返す

「説明だ、君のその力についてね・・・」

それから男はセントのあの力について説明を始め、説明を終えるとセントが頷いて言う

「まあ簡単に言うとワルフとサラマンドラ、同時召喚はできないってわけか」

「ああ、簡単に言うとそうだな。他にもお前には無限の可能性がある。それだけだ」

セントの言葉に男は頷いて言い、指をパチンと鳴らす、とセントの周りに不思議な光が現れた

「これは!?」

「夢から覚めると言っとこう、また新たな力が目覚めたら会おう、我。ああそれと、このことは人に言わないでくれ、説明がややこしくなる。」

男がそう言うとセントはふっと笑って頷き、完全に光に包まれた。



セントが目を覚ますとそこは自分の部屋のベッドの上だった。外はまだ暗く、少し見回すとこっくりこっくり頭が動いているリムスの姿があったので肩を持って軽く揺らして起こすとリムスは目を開けてぼーっとしていたが状況を思い出すとよかったと息を吐いて言う

「目が覚めたの、よかった。もう三日も眠ってたから心配してたよ」

「三日、そんなに寝てたのか?」

あいつとの話はそんなに長かったのか?セントがそう考えているとリムスが立ち上がりながら聞く

「明日は学校行けるよね?」

「あ、ああ・・・多分な」

セントが言うとリムスは分かったと頷いて「気をつけてね」と残して部屋から出て行き、セントももう一度眠りについた。
次の日、リムスやロイ、エレナに連れられて学校に行き、始業と同時刻、セントは黒板の前に立っていた。

「えっと、セント・プレアスだ。これからよろしく」

忘れてる方もいるかもしれないがセントは一応転校生、しかも来た次の日があの試験、その後は三日眠り続け、実際にこの学校の教室に入ったのは今日が初めてだ。

「よし、セントの席は・・・リムスの隣でいいよな?」

担任の先生がそう言うとセントは頷いてリムスの隣の席に移動し、リムスに軽く一礼した。しかし今日の授業はぶっちゃけ短縮授業でしかも内容は精霊使いチーム試験の結果発表と明日の日程の確認。その後各々の生徒の課題を話すとそこで学校は終わり。これ以上ないくらい大雑把だ。
ちなみにセント達のチームが一位だったがそれはまた別のお話。

「さてと、帰ったらどうする?」

校庭を歩いている時にロイが切り出すとエレナは微笑みながら言う

「早く終わったんですし久しぶりに買い物にでも行きませんか?」

「あ、それいいね。セントとロイはどうする?」

エレナの言葉にリムスは笑って賛成をし、ロイも「ああ」と頷いたがセントだけは首を横に振って言う

「悪いけど俺はパス、ナックルもレガースも壊れかけてんだ。新しいやつ買わないと」

セントがそう言ってナックルとレガースを見せるとなるほど、両方ともヒビが酷い。このままだと数日持たないだろう。
三人は残念そうな顔をし、セントは「本当にごめん、後で合流できるならする」と頭を下げて謝りながら言うと武器屋方面に走り出した。

「中々いいな、試しておきたい・・・あれは?」

セントは武器屋で購入した黒いナックルを手に付け、同色のレガースも見ながら呟く。そのまま後はリムスたちと合流、のはずだがセントの視界に一つのものが入る。その視線の先には一人の女の子が二人の不良と思われる男に絡まれている姿があった。

「だから、私はお金は持ってません」

「んじゃそれを調べるから荷物をよこせ!」

男の一人が女の子の荷物を奪い取ろうとし、女の子も必死に抵抗している姿を見るとセントはやれやれと考えて念のためにレガースを付けてからその方に歩いて行き

「やめてあげてください、嫌がってます」

「あぁ!?」

セントはなるべく話し合いで解決できるように丁寧な口調で言うが男は逆に機嫌を悪くしたらしくセントの方を睨みつけて言う

「いい度胸だなてめえ、痛い目見せてやるよ!」

男の一人が怒鳴ると二人揃って精霊を召喚する。一体はそのまま鴉、もう一体は黒と灰色の縞の虎だ。しかしセントはすばやくナックルを構えて

「はぁっ!」

まず一撃、右ストレートを虎にかまして怯ませ、直後左回し蹴りで吹き飛ばす。その隙をつくように鴉が襲い掛かるがセントは倒れるように姿勢を崩すと右手を地面につけ、そのままカポエラの要領で連続回し蹴りで二匹まとめて蹴りつける。自分の精霊を呼び出すまでもなく敵を片付けた。

「くっ、おっ覚えてやがれぇっ!!!」

不良はそう捨てゼリフを残すと去って行き、セントは新しいナックルとレガースの馴染みの良さと今までの物以上の耐久力に満足した様子で微笑む。とその女の子が声をかけてきた。

「あ、あの・・・ありがとうございました。」

「ああ、別にいいよ。それよりこっちは武器屋方面、物騒だぞ」

セントが注意するように言うと女の子は首を横に振って言う

「いえ、私も武器の杖を買いに行く途中でして」

「へえ、ってことはお前も精霊使い?」

その言葉にセントは驚いた口調で言い、女の子が頷くと

「そうか、まあ気をつけろよ。んじゃ急ぐから」

「あ、お名前は?」

セントはそう言い残すとリムス達との待ち合わせ場所に向かって走り出し、女の子が後ろから名前を聞いてくるがセントは聞こえてなかったか何も返さずに走って行った。
ちなみに結局遅刻し、その後買い物の荷物持ちをセント一人でやらされたがそれはまた別のお話。
カイナ
2008年05月12日(月) 22時04分33秒 公開
■この作品の著作権はカイナさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
・・・やっぱ難しいなこれ・・・とりあえずセントの能力についての説明者である番人、それともう一人新しいキャラ。
え〜と・・・気のいい次回予告言葉が浮かびません、では。

mlkさん
本格的っぽいですか。ちなみにウィキ調べですがサラマンドラとは西洋の炎の精霊のことで実際はトカゲっぽいらしいです。ちなみに有名な炎の精霊イフリートはアラビア語源らしいです。

ケルベロスさん
まあ、一応もう一つ彼のみの能力は思いついてますがどこで出すか考えてません(おい)

風斬疾風さん
一応設定上それは無理ということにしてます。考えてる中ではもっと色々精霊出していくので。
そうですか、敵の動き、モンハンの方でも合わせて気をつけてみます。

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 早速不良と揉め事を起こしてるし……。後で復讐とか言ってまた絡んで来たら面白いよね、仲間の前で。さて、女の子は仲間になると予想。出てきたからにはね、きっと。
 なんだか初対面なのに『お前』とか……。結構度胸があるっぽいですねwww 
30  風斬疾風 ■2008-05-16 22:40 ID : FZ8c8JjDD8U
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出す機会はピンチのときでいいんじゃね?(おい)

心の奥底の番人? もう一人の自分? まぁ、色々と面白くなりそうですね。なんかもう一人の自分が人格として出てきそうww
女の子が同じ学校の生徒かもしれないという俺の推測はまた別の話。
30 ケルベロス ■2008-05-15 21:01 ID : 8u0JUU1wUZY
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