黒紅ノ眼〜プロローグ〜
「がぁ……はぁ……はぁ……」
心臓の発作に苦しみながらベッドの上でのた打ち回る……。
いつものこと……ギルバートはそう考えながら痛みに耐えていた。

ギルバートは生まれたときから体内の血液の濃度と循環速度がの数値が他人に比べて非常に高く、幼いギルバートの心臓はそれにより徐々に弱っていった。



ギルバートが生まれたのとちょうど同じ頃……生物の血液に新しい物質が2つ発見された。

一つ目は『陽血子』と呼ばれるものだ。この物質は血液の流れに乗って体内を随時循環していて、血子の所有者の身体能力を底上げする働きがある。

二つ目は『陰血子』と呼ばれる物質……。陽血子とは対照的にこの物質は体の破壊を行なう。破壊を行なうといっても、それは血子の所有者の体ではなく、入り込んだ別の生物の体を……である。

また、陰血子にはもう1つの働きがある。金属の硬度を上げる働きだ。しかし、この陰血子は体内を抜けると自然消滅を始め数秒持たずに完全に消え去ってしまう。




ギルバートの体を巡るのは陽血子だった。




最新の医療技術で、陽血子を活性化させることで連動させて心臓の働きを活性化させた。

これにより、ギルバートの心臓と体は体力を取り戻し一命を取り留め、さらに心臓を守るために、血液の循環を抑える器具を心臓に取り付けた。

基本的に発作の起こる要因はこの器具の不調がほとんどだ。

「……はぁ……はぁ……うっ!」
断続的な発作にギルバートは胸を押さえる。

「今日のは……器具の……ぐぅ……不調じゃ……無いな」
激しい痛みに言葉がながく続けられない。少しづつ切りながらギルバートは呟いた。
普通、器具の不調が原因の場合は心臓部分が握りつぶされるような錯覚を覚えるような痛みを負う。

しかし、原因が分らない発作が時々起きる。
この発作は器具の不調とは違い、手術の傷跡が疼くような痛みを伴う。

「……ぐぅ……はぁはぁ」
発作がおさまると同時に、ギルバートは自分の額に大粒の汗を浮かべているのに気が付いた。

「…………」
無言のままにギルバートは浴室へと向かった。
シャワーで汗を流しながらギルバートは呟く。

「今日は……軍に新人が来る日か……」
熱いシャワーで汗を流すとさっきの苦痛が嘘のように忘れ去ることが出来る。
ギルバートは新人という言葉に口元に笑みを浮かべた。

「楽しい一日になりそうだ」
一人で呟きながらギルバートは窓を見た。
まだ薄暗いが、日が昇る兆しが見える蒼い空だ。ギルバートは軍の教官服を着ると部屋を出た。
ZERO
2008年05月20日(火) 22時53分49秒 公開
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■作者からのメッセージ
こんばんわ。本気でこの作品を新人賞へ出そうと考えているZEROです。
出来る限り厳しく改善点を指摘してください。
短いですね。すみません

この作品の感想をお寄せください。
 しまった!! 読む順番を間違えた・・・。
 なんだか色々と思わせるプロローグですね。 
 発作の原因は・・・。
30  風斬疾風 ■2008-05-25 10:09 ID : FZ8c8JjDD8U
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