サモナーズストーリー 6章 |
一年生が入寮してから約一週間、その日は妙に寮内がざわざわとしている。セントは一年組みとその様子を呆然と見ていた。そしてセントがレンに聞く 「あの〜レン先輩、これは一体?」 セントの言葉にレンは「あぁ」と頷いて返す 「今日は特別な日なんだ。俺達のチームが真の意味で完成する」 その言葉に三人は相変わらず首を傾げたままだが扉の開く音がし、そっちを向くとリムス、エレナが扉の方に走り寄って言う 「「お帰りなさい、シグルス先輩!」」 「ああ、ただいま」 二人の言葉に女性、シグルスは微笑んで返す。空のように蒼い髪を持った美しい女性、それが第一印象だ。二人がこんなに微笑んでいるところから見ても信頼は厚い、それもセントは感じ取れていた。するとシグルスがセントに近づいてきた。 「君が噂の転校生か、三年のシグルス・ティアトだ。よろしく」 「二年のセント・プレアスです。よろしく」 シグルスの言葉にセントも返し、それからもう一度口を開く 「失礼だったら悪いですが、なんで学校を休んでたんですか?」 その言葉にシグルスは少し驚いた表情をしたがすぐに表情を戻して言う 「不覚にも実戦練習で怪我をしてしまってな、昨日まで入院してたんだ。」 シグルスの表情は苦笑気味だったがすぐに力強く微笑むと荷物の一つを持ち上げて中身を出して言う 「だが、これからはそんなヘマはしない、任せてくれ」 彼女の取り出したのは黒く、だが刃の部分は蒼いハルバード。彼女の背より少し短いくらいの大きさに感じるが彼女は軽く振り回している。 その夜、セントは外でぼーっと月を眺めて寝転がっていた。 「・・・」 別に何も考えてはいない、ただ寝転がっているだけだ。セントは召喚腕輪を着けた右手を伸ばして空を見ていたが話し声が聞こえるとそっちの方に足音をたてずに忍び寄り、こっそり覗き見る。 「まさか帰ってたとはなぁ、シグルス」 「何の用だ?賊が」 そこではシグルスが明らかにガラの悪い男と話しており、男の言葉にシグルスが吐き捨てるように返すと男が返す 「ふざけんなよ、忘れたとは言わせねえぜ、俺達の頭を務所送りにしやがって」 「アレは貴様らが悪いのだろう?逆恨みもいいところだ」 男の言葉にシグルスは返す、と男はちっと舌打ちしてシグルスに背中を見せ、門から出て行き様に振り向いてシグルスを睨みながら言う 「覚えてやがれ、いつか思い知らせてやるからな!」 男はそう言うと消え、シグルスも踵を返して寮に入っていった。 「(・・・)」 それを見たセントもシグルスが部屋に戻ったのを見計らって寮に入り、部屋に戻っていった。 事件はその次の日だった。 「セリアがいなくなっただと!?」 その言葉と共に寮の広間に飛び込んできたのはギィ、そこに座っているレンやリムス、シグルスは黙って座っており、ギィが広間に入った直後セントとロイが各々の精霊を連れて部屋に入ってきた。 「駄目だ。ワルフの鼻でも嗅ぎ付けれなかった」 「ティーグルも空高くから探したけど、見つける事はできなかった」 セントとロイはうつむきながら言い、ワルフとティーグルもうつむいていた。それを聞いたレンは冷静に分析を開始する。 「魔物の匂いをも鮮明に嗅ぎつけるワルフの鼻でも匂いが見つからないということは恐らく相手はそういうタイプの能力を持った精霊使い、それにティーグルでも見つけられなかったってことは・・・」 「・・・」 レンの分析を聞くまでもなくロイは踵を返して歩き出し、エレナが「どうしたの?」と聞くとロイは静かに呟く 「町の表は探して見つからなかった、ってことは居るのは裏ってことだ」 「裏・・・なるほど」 ロイの言葉の意味をセントは理解したように頷く、が残りは分からないらしくセントが説明を始める 「町ってのにはほぼ確実に暖かい人の多い光のほかにも・・・まあ簡単に言うとチンピラの多い闇があるってわけだ。コインの表と裏のようにな」 セントの言葉にロイも頷く、とリムスが言う 「でも、なんでセリアがそんなところに!?」 その言葉にセントはわざとらしくふっと微笑むと呟く 「さあ?シグルス先輩、知りませんか?」 「!?」 その言葉にシグルスは驚くがセントは頭を下げて謝りながら言う 「すいません、黙ってるつもりだったんですけど昨日見ちまったんです。先輩が変な男と話してるとこ」 その言葉と共に皆の視線がシグルスに向くが、シグルスは淡々と話し始める 「レンなら知っているだろう?私が入院した理由」 「あ、ああ、確か実戦訓練中にお前の精霊、ルーネスから落馬したのが原因だったな。お前にしては珍しいドジだった」 「あの時に私はちょっと手傷を負ってたんだ。それの原因が・・・」 「あの男達の頭とやらですか?」 シグルスが言い終える前にセントが答え、シグルスは静かに頷く。とレンが分かったように頷き、話し出す 「つまりセリアはその男達にさらわれたと言うことか、しかしどこのどいつなんだ・・・」 レンの言葉にロイとセントはふっと微笑み、再度歩き出しながら言う 「任せといてください、裏のことなら裏の奴に聞けばいい」 「ああ、とっとと行こうか」 二人はそう言うと広間から出て歩き始め、ギィとリムスは慌てて着いていき、シグルスはうつむいて何も言わず、レンとエレナはその横にただ座っていた。 |
カイナ
2008年05月26日(月) 12時24分23秒 公開 ■この作品の著作権はカイナさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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ハルバートってのは斧みたいな槍みたいなやつだと、自分は記憶してるんですがね・・間違っていたらすいません。 話し声ってセントって耳良いんですか? (あまり関係ないだろw |
30点 | ケルベロス | ■2008-06-03 19:57 | ID : If3qiekeSNg | |
でました!きめ台詞の中のきめ台詞!「覚えてやがれ」! 嬉しい!嬉しすぎます!このセリフはもはや歴史的な文化財ですからね。 はい、すみません大げさでした。 不良の溜まり場って言ったら路地裏や酒場……コンビニのまえですかね。 面白かったです。僕の作品は科学を基準にしているので、こういう話は大好きです |
30点 | ZERO | ■2008-05-30 22:40 | ID : H4RG9Ef2clI | |
『ハルバード』って何でしょう? よく分からなくて。 事件だ! さて、明らかに昨日の男関係ですよね……。裏の奴って誰だろう? ま、まさかあの不良!? ……いや、気にせず。 覗き見はいけませんよ〜。いけません。何故月を見てたのかが気になるな。 |
30点 | 風斬疾風 | ■2008-05-28 20:06 | ID : FZ8c8JjDD8U | |
合計 | 90点 |